13/01/17
去年の五月あたりに体験した話です。
深夜に家でネットをやっていたら、外から老婆の歌声が聞こえてきた。
私の家は住宅街にあります。住宅街といっても、田舎の住宅街なので薄暗く寂しいものですけどね…。
まれに深夜に酔っ払いが歌いながら帰宅することがあるので、また酔っ払いかと思った。けれど、老婆は変だろうと思い気になって仕方がなくなった。
私は急いでパジャマの上に上着をはおって外に出た。老婆なので歩く速度が遅いらしく、歌声は家からまだ近い。
家のすぐ近くのT字路を右折したらすぐに老婆の後姿が見えた。私はなるべく足音を立てないように歩いていたのだが、なぜか老婆はすぐにこちらに振り返った。
私は気づかれないように様子を見ようとしていたので、突然振り返ってきてビックリしてしまった。老婆は歌うのをやめ、
「誰だい?」
と聞いてきた。
私はとりあえず、
「近所の者です、夜風に当たりたくなって散歩しているんですよ。」
と笑顔で答えた。
私と老婆は5メートルぐらい離れていたのですが、老婆がこちらに向かってきた。老婆は私に何か小さな物を差し出し、「あげる」と言ってきた。私は条件反射でそれを受け取ってしまった。
受け取ったそれは、コロンとした重さがあり、ビニールに包まれていた。私は呆気にとられたまま、老婆に
「ありがとうございます。」
とお礼を言い、家に引き返した。
家の前の道路に街頭付きの電柱があったので、その真下で受け取った物を確認した。それは、少し古臭いビニールを両サイドからねじって包み込んだタイプのアメ玉だった。
ありがたいと思い、さっそく食べようと包みを両サイドから引っ張りほどいた。ビニールを開封して出てきたのは、錆び付いた六角ナットだった。
私は驚いてそれを落としてしまったが、それを拾わずにさっきのT字路の方を反射的に見た。そこには塀から顔だけを出してこちらを見ている老婆の姿があった。
私はすぐに目の前にある家に入ろうと思ったが、このまま家に入ると老婆に私の家が知られてしまうことに気がついた。私は家に入らず、そのまま家を通過して次の十字路で左折して、その場で少し考えた。
あの老婆はまだいるのだろうか?とか、いつまでここで待てばいいのだろう?と考えていた。しかし、きりがないので思い切って家に帰ることにした。
再度十字路に戻り家の方に向かうが、T字路にはもう老婆の姿はなかった。
コメント
コメント一覧
ボケて徘徊中だったなんて可能性も有り得るよ。
ボケた人が食べ物じゃないのを「食べ物た」と思い込んで口にしようとする事もあるよ。
これだわ
ホラーといえばホラーなのかもしれないが、心霊的なものではなくて人怖だわな
ただの痴呆が進んだ徘徊老人ってのが一番しっくりくる
まあ塀から覗いてたとなると心霊かも!?ってなってしまわないでもないが
老婆「……スリラーー
スリーラーーナーイト♪」
(ここで老婆は投稿者に気付きステップターン
頭上に高く掲げた片腕で投稿者を指差しながら…)
老婆「ポゥッ!」
(本分にもある、ナットに驚く投稿者…更にそれを見ていた老婆に驚く)
老婆「……ポオオォォォーーーッ!!!!!!!!」
一切れのパン:
知人に「すぐに食べてはいけないよ」と布に包まれたパンを貰った主人公は
自分にはまだこのパンがあるという希望を胸に困難を乗り越えた
しかしその後包みを開けた主人公がそこに見たものは一片の木切れだった
改めて知人に感謝する主人公 ーおしまいー
おばあさんはそれが必要なくなっても包みを開けなかった(だから今も飴だと思っている)
もう十分に恩恵を受けたので自分では食べずその一部を主人公にも分け与えてくれたんだよ
良いおばあさんじゃん、…と無理矢理擁護してみました
コメントする