俺は九州出身なんだが、大学は四国へ進学した。
以下はゼミの先輩から聞いた話だ。
四国と言えば八十八ヶ所霊場巡りが有名だが、
昔は大変だったお遍路も、今では道が整備され、道標も各所にあり、地域住民も協力して、
初心者でも観光気分で行けるようになった。
ただ中には下手すると山で迷いかねない部分もあって、
特に高知県の西側から愛媛県にかけては難所がまだいくつか残っている。
先輩は愛媛県出身で、実家の近くにも畦道をぐねぐねと通った後、小高い山を回り込んで向かわなきゃならない霊場がある。
畦道から山の麓に出たところで道が二手に別れていて、霊場にはそこを左へ進まなくちゃならないんだが、
時々右へ行っちゃう人が出るらしい。
もちろん道標が立っているんだけど、それでも何故か間違う人がいると。
ちなみに右の道は徐々に登り坂になっていて、いくつかの分岐を経て最終的には山の頂上に通じているのだが、
流石にそこまで行っちゃう人は少なくて、大半は戻るのだそう。