俺の友人のSが体験した話です。Sは昔から大の鉄道好きで、高校で知り合った頃から、将来は電車の運転手になるのだと言っていました。
高校卒業後は、あまり会うこともありませんでしたが、数年たって他の友人からSが望み通り運転手になったと聞きました。
それからさらに数年後、高校の同窓会があり久しぶりにSと再会しました。Sに、
「念願の運転手になれて良かったな。仕事は楽しいか?」
と聞くと、Sはうつむいて黙ってしまいました。
「どうした、嫌な上司でもいたか?」
とさらに聞くと、Sは小声で、
「俺さ、もうやめたんだ。電車はもう好きでもない。」