特殊清掃の仕事をしていた時期があって、
死人の出た部屋やペットの死体処理からゴミ屋敷の撤去まで、やる仕事は様々だった。
死人の出た部屋とゴミ屋敷に関しては、依頼人がそこでまた住もうとしたり、中の家具や物を使おうとはしないものだから、
家の中を空にする残置物撤去も合わせて受注することが殆どだった。
自分のいた会社は、契約書上はその中にある物の所有権が全て法人に委譲されるから、
いざ作業を始めると必ずと言っていいほど出てくるお金や貴金属は、お客に返す必要がない。
会社の社長は処分費用でお金を頂く分、思い出の品やお金は返したいという考えがあったから、
営業担当や作業員にもその教えを徹底はしたけれど、
実際に現場に出る作業員達は、大体見つけた物は自分のポケットに入れるようだった。
自分も200万円を見つけたことがあったけれど、欲を理性で押し込めるのは本当に大変なことだった。