小学生の頃、ひまわり学級という障がいを抱えた子供が通うクラスがあった。
そこに、ずんぐりした軽度の知的障害を抱えた男子が通っていた。
そいつを仮にAと呼ぶことにする。というか名前知らないし。
ひまわり学級は普通、一般学級とは異なるタイムスケジュールで進んでいるため、
その学級の生徒を見る事は稀なことだった。
それ故に一般生徒は、ひまわり学級についてほとんど知らないのが普通だったのだが、
このAの知名度はかなりすば抜けており、一種の学校の名物君になっていた。
その理由としては、
Aは気になる物は全て左右対称じゃないと気が済まないと言う、極めて重度の強迫性障害を持っていたからだ。
Aは異常なほどシンメトリーに拘り、左右非対称の物に関しては自らが納得するまで弄って、
何とかシンメトリーにしようとしていた。