穂高岳

先日私と登山仲間の先輩とが、北アルプス穂高連峰(ほたかれんぽう)での山行中に経験した話です。

その日は穂高連峰の北に位置する槍ヶ岳(やりがたけ)から稜線を伝って奥穂高岳へ抜ける縦走ルートを計画していました。

ルート上には南岳と北穂高岳を結ぶ、大キレットと呼ばれるV字状に切れ込んだ岩稜帯(がんりょうたい)があります。痩せた岩稜が連続するこのルートは、一般登山道としては屈指の難易度を誇り、毎年滑落による死者が絶えません。

当日の朝こそ太陽が顔を覗かせていましたが、南岳に達するころには濃霧に覆われ、雨もしたたり始めました。予報より3時間も早い雨です。私達は文句をたれながら雨具をまとい、互いの身体をザイルで結びました。

キレットは岩肌にハシゴや鎖が取り付く厳しい下りで始まり、一気に200m程下るとキレットの最下部、コルまでアップダウンが続きます。
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