
浪人時代に同じ予備校の人につきまとわれた。
全く身に覚えがないのにヤツの頭の中でいつの間にか彼女にされたのだ。ヤツと高校時代に同級生だったA君がたまたま私の友人となり、同じ予備校にいた。
ある日の授業でたまたま隣に座ったのが全ての始まりだったようだ(あの時、オレ目当てで近寄ってきたんだ、とヤツはA君に話していた)
もちろん、ヤツとは喋ったこともなく、名前も顔も知らなかった。その数週間後、とある授業で見知らぬ男が私の隣に座ってきた。それがヤツだった。「ここ、座るよ」と妙に無表情で視線が泳いでいたので、顔を憶えてしまった。
授業中、雨が降り出したら「傘、貸そうか」と突然話し掛けてきた(当然、聞こえない振りをしたが)口調が妙に馴れ馴れしく、まるですでに知り合いのような「当然」といった態度が不気味で「浪人中に精神を病んだ人かな」と印象に残ったのだ。
しかし、その後しばらくは何ごともなく過ごしていた。もちろん、ヤツとは話すことはおろか、見かけた覚えさえなかった。そんなある日、、、、。