14/03/07
20歳前後、新築のロフト付きワンルームを借りていたころの話。
パシッ!と肌をひっぱたくような音、施錠された上にチェーンもかかっているドアが開閉する音、キッチンの蛇口からシンクへダラララララ…と水が流れ出す音など、音だけで見えないのは幸いだったが、日常的に怪異が起こる部屋だった。
ある日、いつものようにロフトに敷いた布団で寝ていると開くはずのない玄関のドアがガチャッ、と音を立てた。施錠、チェーンをかけているかは就寝前に確認済みだ。
開くはずのないドアの開閉音に慣れてしまうのもどうかと思うが、その頃には睡眠欲が優先されるようになっていた。