12/06/09
不思議な体験をしたので投稿します。
もうだいぶ前のことになりますが、当時私は金属加工の小さな工場を経営していて、折からの不況もあってその経営に行き詰まっていました。
そしてお恥ずかしい話ですが自殺を考えたのです。
もう子供たちは成人しておりましたし、負債は生命保険で何とかできると思われる額でした。
今にして思えば何とでも道はあったのですが、精神的に追い詰められるとはあのことでしょう。その時はそれしか考えられなくなっていました。
五月の連休の期間に、家族には告げずに郷里に帰りました。郷里といっても、もう実家は存在していなかったのですが、自分が子供の頃に遊んだ山河は残っていました。
この帰郷の目的は、裏山にある古い神社にこれから死にますという報告をしようと思ったことです。
昔檀家だった寺もあったのですが、住職やその家族に会って現況をあれこれ聞かれるのが嫌でそこに行くことは考えませんでした。
神社に行くまで少し坂を上りますので、鳥居をくぐったときにはだいぶ汗ばんでいました。
この神社は村の氏神(うじがみ)のようなものですが、過疎化の進んだ昨今は常駐する神主もおりません。
祭のとき以外にはめったにお参りする人もいないような所です。
大きな石に山水をひいた手水鉢(ちょうずばち)で手を清めようとして、ふとその底をのぞき込んだときに、くらくらとめまいがして、水に頭から突っ込んでしまいました。
深さは五十センチ程度だったと思うのですが、私の体はストーンとそのまま手水鉢の中に落ち込んでしまいました。
そしてかなりの高さを落ちていった気がします。
ばしゃっと音をたてて井戸の底のような所に落ち込みました。ショックはあったのですが、そのわりには体に痛いところはありませんでした。
そこはおかしな空間で、半径1.5mほどの茶筒の底のようで1mくらい水が溜まった中に私は立っています。回りの壁は平らでつるつるしていて、しかも真珠のような色と光沢で内部から光っているのです。
一番不思議なのは、真上10mくらいのところに手水鉢と思われる穴があり水がゆらるらとゆらいで見えることです。
しかし私自身の顔は空気中にあり、下半身は水の中にいるのです。私が浸かっている水はまったく濁りがなく透明で、さして冷たくはありません。
底の方を見ていると足元に20cmばかりのイモリがいるのに気づきました。それだけではありません。
イモリは一匹の小さな青ガエルを足の方から半分ほどくわえ込んでいます。カエルはまだ生きていて、逃れようと手をばたつかせますがどうにもなりません。
その状態が長い時間続いているようです。
私はふと、そのカエルの姿が工場の資金繰りに行き詰まってもがいている自分のようで、かがんで手を伸ばし助けてやろうとしました。
その時、頭の中に声が聞こえたのです。
(そうだ、そのカエルはお前だ。ただし今のお前ではなく、自死したのち罰を受けているお前の姿だ)
私は、あっと思いました。
がつん、ばしゃっという衝撃があり、気がつくと手水鉢の縁に頭をぶつけていました。少し血が出ました。
血は神社のけいだいでは不浄と思ったので、ハンカチで押さえながら急いで鳥居の外に出ました。体は少しも濡れたりはしていません。
そしてその時には、あれほど頭の中を占めていた自殺という考えはすっかりなくなっていたのです。
郷里から帰った私は奮闘し、工場の経営を立て直しました。そして毎年その神社へのお参りはかかしていません。
話は以上です。スレ汚し失礼いたしました。
コメント
コメント一覧
羨ましいな、そんな体験してみたい。
面白いと言っちゃなんだが非常に面白かった
「今度会うときは炎の中」
「人間は簡単には死なない。火葬されて灰になるまでこっちにくるんじゃない」
といわれたそう。
私自身も、出雲大社に行く直前、夢の中で
千と千尋のハクに乗った千尋状態で海面スレスレを飛ぶ、白い龍との不思議な夢を見ました。
夢占いでいうと「白い龍や水平線のある海」はクリエイターにとって吉夢だそうで。
ホントに神様はいるのかも。
声の主は神様?死んだ爺ちゃんかも知れん。
最初からよく読めよ。
↓
『今にして思えば何とでも道はあったのですが、精神的に追い詰められるとはあのことでしょう。その時はそれしか考えられなくなっていました。』
本人の努力以外に神様の助力もあったのでは?
寂れた神社だと神様じゃない悪いものがいる場合があると聞くけど、神様が坐したんだね。
ここまでの経験は皆無だけど、何度か通ってる神社で不思議な体験をすることがある。
読んだ結論だよ。「それしか考えられなかった=自殺で保険金=借金返済=家族の事は知らん。
他に道はあった=廃業or破産や工場を売る、工場を居抜きで権利を売る=借金返済など
いくら奮闘しても銀行に返済出来なければ不当り(不渡り)で倒産なんだよ。
普通の商売は納品しても支払いは60日~120日後に代金が支払われるから、そこまでの運転資金が必要になる。いくら奮闘しても入金が無ければ支払いは出来ない。
そんな所に融資してくれる銀行も会社も無いけどな普通は。
この話が本当であれ創作であれ、苦しむ人を助けてくれる美香様はいるってことで
ほっこりするだろ
いくら力説してもあんたの常識が世事のすべてじゃない。
そのことをこの物語は語ってるんだよ。
見事にこの主人公とあんたがかぶるわ。
いくらここで持論を力説したとしても、あんたの中の常識でしかない。
そのことをこの物語は語ってるんだよ。
この追い込まれた主人公とあんたがかぶって見えるよ。
現実を見なさいよ、ファンタジーを夢見ても生活は出来ないぞ。
世の中には決まりがあるんだよ、無理な物は無理と理解できないようじゃ社会では生きて行けない
まあ※ナンバーを間違うような注意力と、確認もしないでコメするような散漫さからは社会に貢献出来てない人物だと言うのは確認できたよ。
辛いね。つらい
邪な願いは叶えないけど、無心な救いを聞き届けて下さったのでしょう。
感謝ですね
血で契約したのかなあとちょっと思った
面白かったです
コメントする