公衆電話
16/11/19
見知らぬ男の人から公衆電話を使って自宅に電話があった。

「あなたの落し物を預かっています」

と言われたけど、落し物をした記憶がないのでイタズラかと思った。そもそも公衆電話ってのが怪しいし電話を切ろうとしたら

「これを拾ったのが俺だとバレたら俺が犯罪に巻き込まれそうなんです」

と言われた。ますます意味がわからない。でも続く男の言葉に戦慄した。

私の旧住所、新住所、携帯番号、パソアドレス、携帯アドレス、大学のアドレス、生年月日、家族の詳細、姉妹の生年月日、学籍番号などなど片っ端からならべだし

「これがあなたの落し物です」

と言われた。
そして「注意して下さい」とも。

荷物はわざわざコンビニ受け取りで送られてきた。届いたものは、私の個人情報がぎっしり詰まった手帳だった。中学時代から当時にいたるまでの10年間の情報がびっしり。

高校の頃にいつの間にかなくしたと思った手作りのしおりが挟まってた。

他にも、なくして先生にこっぴどく叱られた面談で話し合った最終進路を記入した紙も挟まってた。私の髪の毛とかも…

送り主は拾った場所と日時と状況のメモを書いていてくれて、本来なら警察か施設の方に届けるべきを送ってくれたみたいだった。そのまま親と警察に持っていった。

何事もなく10年たつ。

手帳は見慣れない字で、私は一度もモテキなんなかったし、友達に聞いても思い当たる節がないと言われた。

もう見切りをつけたから手帳を捨てたってことなんだろうか。怖かった。