03/02/09
今から5年くらい前かなぁ、学生アルバイトで俺はテレビゲーム屋の店員をしてたんだ。
その時店内には、店長ともう1人のバイトの人間がいた。その日は休日だったが客の入りは良くなかった。しばらく店内の雑用をこなしていたら、ツナギを来た中年のおっさんが入ってきた。
「いらっしゃいませ」
店長がそう言いきる間もなく、その男はカウンターレジにやってきた。
男「あ、あの…」
店長「はい、何か?」
男「メロン買いませんか?」
俺たち『はぁ!?』
話によると男は東北の方からやってきた業者だという。メロンを安く売るから買わないか?とのことだった。店長は最初はそんなの結構ですと断っていたんだが、そのうち男は
「じゃあ試食だけでもしてくれ。美味しかったら買ってくれ。そうじゃなかったら買ってくれなくていいから」
そんなことを言い出した。
「じゃあ試食だけだったら…」
店長が折れるのを確認すると、その男はちょっと待っていてくれ、と一旦外へ出てメロンを取りに言った。俺は何がなんだかわからず、ポカンとしていた。
正直メロンが好きじゃなかったからどうでも良かったんだが……;ただ、その男の様子がどこかぎこちないところだけは気になった。
数分後男が戻ってきた。メロン一箱とまな板、そして大きな包丁を引っさげて。さすがに刃物を見た店長の顔も固まる。バイト君だった俺も、背中に冷たい汗が走った。
そんな俺たちをよそに男は箱の中からメロンを一個取り出すと、おぼつかない手付きで、その場で切りはじめた。
その手付きはどこかぎこちない。ただメロンにすぅーと入っていくその包丁の切れ味は確かなものだと分かった。その切っ先を見ていると、なんか俺は嫌な予感がしたんだ。
「さぁ食べてみてくれ」
一口サイズに切られたメロンを口にする店長とバイト君。メロン苦手な俺も場の雰囲気に逆らえず、しぶしぶ口にすることになった。
メロン嫌いの俺が言うのもなんだが、それはお世辞にも美味しいとはいえないメロンなんだろうな。口に中に入れた瞬間にピリピリとしびれてくる感じがした。
俺だけがそんな感じかと思ったら、他の2人にとってもいまいちだった様で、結局買わないってことになったんだ。
「美味しかったら買ってくれるって話だったよな?」
そう言う男の手にはずっと包丁が握られている。目がだんだんとすわってきていた。
店長「いえ、ちょっと口に合わなかったものですから……」
男「一個3000円でいいんだ。1人1000円ずつ出せば買えるだろうに」
店長「だから口に合わなかったんですってば」
店長はほとほと困り果てた顔をしていた。そんな店長の顔色とは対照的に、包丁を持った男の顔はだんだんと昂揚して赤くなってきていた。
俺も隣のバイトも恐怖でかちこちになっていた。男の様子からキレられると言うことが余裕に想像できたからだ。
しかし意外にも「分かった」と、ものわかり良く男はそう言ったので、俺たちは内心ホッと胸をなでおろしていたんだがその後、男は意味不明な事を口にした。
「俺は帰る。その代わりメロンの箱を外まで持ってきてくれないか」
男はそんなことを言った。
持ってくる時は全部自分一人で持ってこれたやん?帰りも一人で持っていけばいいのに???その場にいた3人ともそう思っていた。
俺たちは動かなかった。男もまた、俺たちが動くまで動かなかった。
そのまましばらくすると店の中にお客さんが入ってきた。小さい子供だ。変なことになると大変なので、
「店長、俺が持ってきますよ」
そう言って早くこの男に帰ってもらうことに。俺がメロンの箱をかかえて歩き出すのを確認すると、男は後ろから付いてきた。心配になった店長がその後に続く。
店の前にはよく見かける、ありふれたバンが止まっていた。これが男の営業者らしい。
「車に積んでくれ」
男が後ろのハッチを空けると、中にはメロンの箱の山が詰まれている………かと思いきや、中はもぬけの殻で、代わりに同じくツナギを来た男がいた。目つきの悪い男だった。
「ここに置いておくよ」
なるべくその男の顔を見ないように車の中に置くと、逃げるように車を離れた。
俺の背中でハッチドアを閉める音がする。その直前に車の中にスタンバっていた男の「チッ!」という舌打ちする音が確かに聞こえた。
彼らはそのまま素直にバンに乗り込むと車を急発進させ、町の中に消えていったのだった。
コメント
コメント一覧
オチがイマイチ。
しかも値段が高い割には美味しくない
たぶんそう。
農家ならほぼ販路は決まってるし、今ならネット販売もできる。
飛び込みで生鮮食品売り歩くなど盗品以外にない。
男はなにがしたかったんだ?
断ったら「じゃあ代わりに~してくれよ」ってこれまた理不尽な交換条件出してくる手口には
どう対処するのがベストなんだろうな?
それはもしかして、メロンパンのパンとメロンバンのバンをかけて面白くする作戦ですか!?
相手の言うことにNo!だけしか言わない
あとは、お好きな物を
不退去罪ですよ
営業妨害ですよ
110番通報しますね
写メ取っちゃおうかなあ
ナンバープレート覚えちゃいそうです
もう営業妨害で警察呼びますと強気に出たい!
お客様は神様じゃない。
※17
いいねwww
関係性がフラットなスタート時点から理不尽な要求をしてくるような連中なんだから、逆恨みでもされたらどうなるかわかったもんじゃない
大体は熟れすぎてハネ品になったのをタダ同然で仕入れて売ってる。
絶対値段に見会わないので、気を付けましょう。
重い症状が出ないから気づかないだけでメロンアレルギーは実は多い
隣国から観光ビザで入国して不法滞在して、報告者を拉致してぬっころしてなり替わる。
農作物は農家から盗んだもので、下手すれば車も盗難車で天ぷらナンバー。
報告者が自動車免許を持ってなければ、成り替わった人間が免許を取得して顔入りの公的な身分証明書もゲットできる。
あとからついてきた店長グッジョブ。
朝鮮在日がよくやることだな
軽度だけど自分もそうなので余り食べられない。
>お客様は神様じゃない。
そのとおり!
そう言われたら
「じゃあ、どの神様拝むかは私の自由ですね、次のお客様どうぞこちらへ」
どこかのまとめで読んだ、見事な娘さんの対応が忘れ得ぬ一言になってる
心の余裕となってくれる暴発防止のおまじない
普通のはならないからアレルギーじゃないはず。
売上出るはず無いんだよな
青果売り毎年見かけるけどさ
人が商売やってる場所に入って来て、自分の商売やろうなんて
ソッコー叩き出していいんだよ。なんなら通報すればいい
最後2行のチラつかせ感ワロタ
僕は学生アルバイトでテレビゲーム屋の店員をしているごく一般的な男の子。
その日は休日だったけど客の入りは良くなかった。
しばらく店内の雑用をこなしていたら、ツナギを着た一人の男が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
そう言い切る間もなく、その男はカウンターレジにやってきた。
僕「あ、あの…」
男「やらないか」
僕「ハッ Σ」
に、逃げ場がねぇ…。
んで間際に子供が来店したから未遂で終わったのか?
でもそもそも男3人相手に強盗するかねえ?
いやほんとにただのメロンの押し売りだったのかね...
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