桜
14/04/27
私の地元、千葉北西部に関するお話を入手したので語ります。お聞き頂ければ幸いです。

柏レイソルの本拠地、日立グラウンド

行った事がある方はお気づきになったでしょうか。あの正門前、緑ヶ丘交番前交差点にたたずむ石碑に。

あれはその昔、野馬除土手(のまよけどて)……つまり、野良の馬や猛獣が村へ侵入するのを防ぐための土手であった事を示すもの。すなわち、それそのものはただの道標塚でしかないのだが……

ここから、日立グラウンドに向かって左側の道を少し行くと、しだれ桜の咲く場所がある。

本来土手に木を植える行為は、土手が荒れやすく、崩れやすくなることから忌避(きひ)されている。

では、なぜそんな所に、しかも桜などが植えられているのか。この理由は、近隣住民ですら知らない事が多いのだが、実は深い理由がある。

戦後直後の時代

その地域は空襲などの被害もなく、比較的平穏であったが、若者が戦争に駆り出された結果、地主の跡継ぎがいなくなり横領されてしまった土地が存在する。

その経緯に関しては色々と問題になるため書く事はできないが……

野馬除土手の辺りは大地主がいたのだが、ここも例によって跡取りが戦争で散ってしまった。

病をかかえ、余命いくばくもない地主は、土地を手放すまいと弁護士を集めたりと奔走(ほんそう)した。しかしそのかいもなく、結局地主は死んでしまった。

土地は横領されてしまうか……と思われたが、なぜかこの土地を欲しがる者がいない。その理由は、ある日突然姿を現したとされる、あのしだれ桜のせいであった。

いにしえより陰陽道(おんみょうどう)において桜は『陰木(いんき)』であり、庭にあると縁起が悪いとされる。

さらにはしだれ桜などその筆頭であり、家運や金運をいちじるしく吸い取るという。しかも桜は根を深く伸ばすため植樹(しょくじゅ)がしにくく、しかし切り倒してしまうのも罰当たり。そのため、誰もその土地を得ようとはしなかったのだ。

……そんなある日、地主の親戚にあたる男がここを訪れた際、何気なく散りぎわの桜の花弁を見やると、なぜか一箇所に積もっている。

怪しいと思いその場所を掘ると、なんと戦争で消息不明になったはずの地主の跡取り息子の遺体が、軍服をまとい埋まっていた。

男は驚いたが、きっとこの息子の父に対する孝行であったのだろうと考え、息子を丁重に葬ると共に、自らがこの地を受け継いだ。

その男こそ、当時の日立製作所社長・倉田主税(くらた ちから)である。

後に日立製作所のサッカー部はこの地に本拠地を移し、現在の日立グラウンドを建設。そして日立製作所サッカー部は後に柏レイソルになるのである。

今ではこの事実を知る者も少ないのだが、2011年にレイソルが快挙を達成した際、一部のサポーターの間で語り草になったという。

時は流れども、歴史・由来を知るということは大事な事なのである。

おしまい

蛇足……

オカ板住民ならご存知かもしれないが、陰陽道においては全てのものに陰陽がある。木ももちろん陰陽が存在し、桜は陰木の代表として有名で、柳などは陽木である。

陰と陽が同時に存在するのが良いと考える陰陽道の考えは今も日本人の心に深くかかわっている。

柳の下に幽霊がいるのも陰陽、桜の下で宴会をするのも陰陽。なんとも、知れば興味深いものである。