漁港
12/08/17
八雲漁港(道南)へ友達と車で釣りに行った時の話。これは4年くらい前だと思う。

漁港へ着き、奥へ向かおうとしたら友達がアゴで何かの合図をしてきた。見てみると明らかに漁港には似つかわしくないパジャマ姿のババアが。

なんだあれは…

そう思っているとババアは俺たちに小走りで接近してきた。

『あんたたち若いね』
『なにしにきたの』
『楽しそうだね』
『若くていいね』

やたら話し掛けてくる。しかもずっと付いてきて無視するわけにもいかない状態に。

話を聞いてるとババアは自殺志願者だった。どっからか抜け出してきたのか小学生の上履きみたいに名字の書いた靴を履いている。

ババアは息子の嫁が憎いという話を延々と続け、人生に嫌気がさしたと愚痴り続けて止まらない。

友達が警察呼ぶか?というジェスチャーをしてたが俺はババアを可哀想に思い、座ってババアの話をしばらく聞いてやる事にした。

俺はババアの愚痴を1時間半以上聞き続けてやった。こいつは本気で死ぬ気がなくて話を聞いてくれる相手が欲しいだけだなと感じたからだ。

『俺の爺ちゃんは火事で死んだ。地縛霊になって未だにいるっぽいし、自殺したら婆さんも漁港でさ迷い続ける事になるぞ』

とおどしてみた。

『おっかねえじゃよ!』

とビビるババア

『あんたたち気にしないで釣りやりなさい。アタシ横で飛び込んで死ぬからさ』

ババアはまた死ぬと言い出した。しかも話してる事がムチャクチャだ。

ババアがダッシュで漁港の奥へと向かおうとしたので友達に警察を呼べと合図をする。可哀想な気はしたが足場が悪いから死ぬ気がなくてもコケて頭打って死にそうな気がしてきたので(笑)

追いかけた俺はババアに追いつき、半泣き状態のババアを座らせて再び話し込んだ。警察がくるまでババアと話していた。自殺はよくないと俺がババアに再び言うと

『アタシ昨日も死ぬがど思って浜さ座ってたんだ。したっけ海からお経聞こえてきたんだ』

突然、周りに聞こえないような小声になるババア。と言っても周りには誰もいないから気にする必要はなかったんだが(笑)

『海からずっとお経聞こえてきて、おっかねくて逃げたんだあ』

『あれ何だったんだべね?』

真面目な顔で聞いてくるババアが少し怖かった。その後、ババアはパトカーに乗せられてどっかに行った。

死者に呼ばれる(?)なんてあのババアにも少しは死ぬ気があったんだなと少し関心。もちろんボケていただけの可能性もある。