自衛隊
11/06/18
自衛隊での体験談。ちょっと専門用語が多いので分りにくいかもしれない。

高校卒業後、すぐに自衛隊に入隊した俺だったんだが、7月の後期教育のある日、駐屯地にある小さい資料館のそうじってのがあったんだ。

班長の説明ではこの駐屯地は元々海軍航空隊地で、旧日本軍の遺物みたいなのが置いてあり、駐屯地祭で一般開放されるから、それにそなえてそうじをやるのが教育隊の恒例行事なんだとか。

軍オタの同期は凄い喜んでたが、俺は興味がないのでどうでもよかった。むしろ戦闘訓練や射撃訓練、行軍訓練をやるよりも楽でいいやぁ、程度に思ってた。

んで、そうじが始まると俺は楽そうなショーケースの中のそうじをやっていたんだが、ラップみたいなのに包まれた古い手紙みたいなのを手にとって台から外そうとした時、、

シミが入って字も薄くなって読みにくいんだけど、何コレーっと読もうとしたらなぜか物凄い悲しくなり、凄い勢いで涙がボロボロと流れたんだよね。字も読めないのに。

俺は日本軍信仰とか全くないので、自分でも何で泣いてるのか良く分らなかった。

というか涙が流れ始めてから自分が自分じゃないような変な感覚におちいってて、その後マッチョ同期と班付に抱えられて医務室へ運ばれたらしいのだが、その事は全然覚えていない。

ただ、同期や班付の話だと、物凄い自虐モードでずっと何かに謝ってたらしい。

その日の課業外、すっかり復活した俺はキレ気味の別の班の班長に呼び出されて色々聞かれるハメになった。

キレかかってて怖いので全てを正直に話すと、どうもその班長は「見える人」みたいで、心霊事例でノイローゼになるケースもあるので調べておきたかったそうな。

見える班長の話だと、演習場の中にある旧日本軍時代には弾薬庫や滑走路だった場所には日常的にいるそうで、そういったたぐいのモノが悪さしていないかという質問だった。

生まれてこの方幽霊なんぞ見た事ないし、そういった体験なんぞ全くないので、見える班長の期待にはそぐわなかったようだが…

結局同期に下手な不安を与えると色々マズイので、俺は表面上旧日本軍信者で毎年終戦記念日には靖国神社に参拝してるような右翼君という事にされた。

俺は元々大学進学の資金確保の為に入隊したので2任期、4年で退官。

昨日開かれた同期会の飲み会では、東日本大震災に派遣されてた現役組の心霊、非心霊ふくめた色々シャレにならない話でどんよりしていた頃、ちょうどあの手紙みたいなモノを思い出した。

見える班長に聞いてみると、あの手紙は志願した特攻隊員が家族に宛てた最期の手紙で、その遺族から提供して頂いた大変貴重な資料だった。

そして、その特攻隊員の戦果は戦果不明(見える班長いわく特攻失敗)だったそうだ。

その後見える班長に色々と話を聞かせてもらったのだが、旧日本軍兵士の幽霊というのは風貌からとても怖いイメージがあるが、基本的にこちらからちょっかいをかけなければ害のない幽霊がほとんどだそうだ。

逆にちょっかいをかける相手に対してはとことん容赦がないとの事。そういった場所への心霊スポット訪問は絶対やめようね。

そして俺がこの体験をしたとき、見える班長は俺が手紙に何かイタズラをしたと思っていたようで、俺を呼び出した時は泣いたり笑ったり出来ないぐらいシバいてやる予定だったと笑顔で言われた。

あの時嘘を言ってたらと思うと背筋がゾっとする。