09/05/30
新入社員のNさんは、就職と同時にアパートを借りて念願の一人暮らしを始めた。
ちょっと古めのアパートだが、風呂とトイレは別になっており6畳くらいの部屋だし、駅から少し遠い事を除けばまあまあの物件だった。
一人暮らしを始めて一か月ほどたった日。日曜の昼ごろ、ドアをコンコンと叩く音がする。
(なんだろ?)
Nさんは、ドアを開けると郵便局の配達員が立っていた。
「いらっしゃったんですか?すいません、インターホン鳴らしたんですけど」
全くインターホンなど鳴らなかったので、電池切れかな、と思って電池を入れ替えてみた。ためしに玄関からインターホンを押してみた。部屋の中ではチャイムは鳴らない。
(くそ、壊れてやがる)
Nさんは管理会社へ連絡しようと思ったが、ついつい忘れてしまってそのままになっていたが、インターホンが鳴らないという事の不便さを思い知った。
管理会社へ連絡すると、有料での修理になると言われたのでムカついて放っておいた。
又、日曜日にドアがノックされるので、開けてみると新聞の勧誘だった。かなりしつこい男で、追い出すのに相当疲れた。
インターホンなら相手と対面せずに、追いはらう事が出来る。しかし郵便とかピザの出前とかと、不要な相手とを区別するにはインターホンが使えない以上、覗き窓で見るしかない。
ただし玄関のこちら側にいて、覗き窓から見ている事に気付かれるのは嫌なので、自然とNさんは忍び足で玄関へ向かう様になった。そして招かれざる客には、そっと居留守を使うようになった。
ある夜の事だった。トイレに行こうとしたNさんは、トイレのドアを開けようとしてふと気が付いた。ドアの外で靴音がするのだ。
覗き窓で外を見ると、男が歩いてくる。男はNさんの部屋の前へ来るとインターホンを押した。男は宅急便の制服を着ていないし、荷物を持っている様子もない。
(こんな夜に面倒な勧誘などお断りだよ)
息を殺して見ていると、男は2度3度とインターホンを押していた。
(早く帰れよ)
男は、インターホンを押すのを止めたと思ったらポケットから何かを取り出し、カギ穴へ差し込んだ。
(え?え?)
Nさんは、瞬時には目の前の出来事が理解出来なかった。見知らぬ男はカギ穴に何かを差し込んで、カチャカチャとやっているのだ。
状況に気が付いたのは、目の前でカギがターンしようと動き出したのを見たときだった。
ゆっくりとターンしている。ハッとして手を伸ばし、まわり始めたカギをカチンと元に戻した。あわてて覗き穴を見ると、男が走り去って行くのが見えた。
コメント
コメント一覧
※6の言う通り、貸し主側の責任負担箇所だし。
今のエアコンみたいな感じで、前の住人が置いて行ったらそのまま引き継いで、
壊れたら自腹で修理する、みたいな感じじゃなかろうか。
…ドアの向こうに居やがったんだ。息を潜めて。
一体何が居たのか?
もし鍵を開けて中に入ってたらそいつに出くわしていた。(男、談)
お巡りさんこいつです
この場合は前の住人が合鍵を持ったまま転居し
雑な管理会社だからドアの鍵の付け替えをしていないのを知っていて
現在の住人の不在を狙って開けようとしたのであろう。
前の住人ならインターホンが壊れてるの知ってんじゃないの?
愛国ネトウヨ戦士に敵う訳ないのにな
犯罪被害に遭いそうになった!早く直せ!と怒鳴り込んでいいレベル。
しかしチェーンは付いてないのかね?どんだけ防犯対策の薄いアパート?
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