視線
15/08/02
先日、何気に喫茶店に入った時の話なんだが。

ガラス扉を開けると、カランコロンと音が鳴る。2~3歩中へ入った時、店内にいた客が全員こちらを振り向いた。

サラリーマン風の男性客、OLらしき二人組、商談中らしきビジネスマン3人、他4名ほど。全員がこれまでの会話を中断して、いっせいに俺の顔を見つめている。

10秒、20秒、30秒ほど沈黙の重苦しい空間と時間。わけがわからなくなり頭の中が白くなった。

ハッと我に返ると、いつしか客たちは何事もなかったかのように、それぞれ会話に戻っていた。数十秒の間に垣間見た白日夢か。

気を取り直してテーブルにつき、コーヒーを注文する。その後誰一人として俺を見る者はなかった。

しばらくは嫌ぁな油汗がひかなかった。