街灯

多分心霊じゃないけど、実体験なので、投下してみる。

去年の夏の話。友達とレンタカー借りて海に行った帰り、まだ車を返すまでには時間があったから、適当な場所に車を止めてしゃべってようってなった。

大きなメイン道路に歩道をはさんで住宅地があるような場所で、歩道脇に車を止めた。時間はたぶん夜の9時すぎくらいだったと思う。

外はもちろん真っ暗だったけど、外灯の明かりはあったから、人が歩道を歩いていたらわかるような状態。

俺は友達の助手席に座ってちょっとぼーっとしてたんだけど、住宅地の方から、腰の曲がったお婆さんが出てくるのが見えた。

結構な夜だし、こんな夜にお婆さん??と思って、俺はそのままなんとなーく、そのお婆さんを見てたんだけど、よく見ると、手にヒモを持って、白い"何か"を引きずってるんだよ。

ずるっずるっずるずるずるっ

て感じ。

え?何??何持ってるの?と思ってよーく目を凝らすと、お婆さんの持ってるのはリードで、白いのはシーズーっぽい犬だった。

で、犬は犬でも、あきらかに、様子がおかしいんだよ。さっきも言ったように、引きずられてんの。ずるずるって。

それで、もっとよーく見てみると、その犬、首がだらーんって垂れてて、足がいろんな方向に曲がってて、完全に死んでんだよ。もちろんピクリともしない。

でも、お婆さんは犬が死んでるのに気づいてないみたいで、何でコイツ歩かないんだよ?って感じで、執拗に引きずってんの、ずるずるずるずる。

そんでそのおばあさん、何すんのかなー?って見てたら、犬の死骸を引きずりながら大きな道路の端まで出て、手を上げ出したんだ。

ヒッチハイクかタクシーか、、、とにかく車に乗りたいらしい。

犬の具合が悪いことだけは理解して、病院に連れて行くつもりなのか??にしても、こんな夜にあいてる動物病院があるのか?それに、すでに死んでいるのは明らか。

真意は分からないが、何台かのタクシーに無視されながらも、ようやく一台のタクシーがお婆さんの前に止まった。ほんとに、こんな不気味なばあさんなのに、よく止まったなぁと思った。

そして、そのお婆さんは、ずるっずるずるって犬を引きずりながらタクシーに乗り込んで、そのままどこかに去って行った。

だらんとした首が、タクシーに乗りこむ際に引っ張りあげられて、今にもちぎれそうな感じだったのがものすごく不気味だった。

タクシーって犬乗せてよかったっけ??しかも、死んでるし。ほんとによく乗せたよ、あのタクシー。とにかくそのままそのタクシーは去って行って、結局そのばあさんがどうなったかわからない。

落ちが微妙だが、本当に体験した話で、人生の中で一番不気味な体験だった。