幽霊

怖いんだか怖くないんだかあれなんだけど貴重な体験だったんで書いていく。

俺はいっつも婆さんの墓参りに行く際に、好きだった栗まんじゅうやチョコまんじゅうを購入して墓にお供えするんだけど、隣にコケの生えた物凄く古い墓があって、線香もお供え物もないから可哀想で、あまったまんじゅうを一つお供えしてあげたりしてた。

んで問題はここから先の話。

3年くらい前、金縛りに悩まされていた。仕事のストレスもあったんだろうけど、ボロアパートで就寝中決まって現れる、赤い着物でおかっぱで白目の女の幽霊みたいなのが、寝てる俺の周りをグルグル歩き回った後に、首を絞められ金縛りにあう。

そんな夢を週三回くらいのペースで見るようになり、寝るのが怖くなるほどだった。上司や先輩に最近無理しすぎだから休めと言われ、4日くらい休日をもらった。それくらいやつれてたっぽい。

金縛りの原因ってなんだろうなぁと思って、ピンときたのが隣の墓へのお供え物の件かなと思った。もしかしたら墓に眠ってる幽霊が、よけいな事すんなって怒って俺の首しめてるのかな…と。

もし金縛りが続くようなら隣のお墓へのお供えは控えよう、と思った矢先に再び就寝中に金縛り。相変わらず赤い着物を着ておかっぱの幽霊がにたにたしながら俺の首を絞めてくる。

怖いし不気味だし悲鳴を上げようにも声がでない…ぼそぼそと良くわからないことをしゃべり続け、俺は引きつってそれを耐えるだけ…

そして仕舞いに髪が長くて白い着物をきた幽霊まで現れた。

何なんだこりゃ…と思った直後、白い着物を着た幽霊が凄い形相でおかっぱの幽霊に蹴りをかまし吹っ飛ばされた。

蹴飛ばされたおかっぱの幽霊は白い着物の幽霊の形相におびえた表情をして、ふわっと姿を消す。

おびえてる俺を見下ろし、今度は俺の番なのか…とか思った直後、その女の幽霊はどや顔で親指をびしっと立て、2、3回うなずいて消えていった。

起きると嫌な感覚はなく汗もかいてなかった。そしてそれからあまり金縛りにあわなくなる…

で何週間かたって再び金縛りになりかかった。再びおかっぱの赤い着物の幽霊がぐるぐる…

またか…もうやだ…みたいな恐怖感に襲われるも、おかっぱの幽霊の表情が一気におびえたものへと変ぼうした。

見上げると、俺のソファに腕を組みながら座っている白い着物の幽霊。相変わらず凄い形相でおかっぱ幽霊を睨み付ける。

降参したかのようにおかっぱ幽霊は姿を消し、再びどや顔で親指をびしっと立てながら白い着物の幽霊は姿を消した。

その際にうっすら見えたのが、どや顔で笑っている幽霊の口元にまんじゅうの食べかすみたいなのがこびりついていた事…

あれ依頼金縛りにあわなくなった…

そして今でも婆さんの隣の墓へのお供え物のおすそ分けは欠かさず行っている。

そんな怖いか怖くないか微妙な話でした…

それでは