Aさんは妻と子供がおり、平凡ながら幸せに暮らしていました。
Aさんは趣味でヨガを習っており、いつのまにか瞑想が趣味を兼ね備えた日課のようになってました。
瞑想する事で心が落ち着き、非常にすっきりした気分になるからです。
いつものように瞑想していると、急にピシッといった空気が感じられ、夢の中に引き込まれました。
そこでは、現世の妻ではないカオリという妻と子供がいました。
彼女は優しく気丈で、Aさんとの仲も非常に良好でした。
その夢の中でAさんは普通に日常を過ごしていました。
はっと我に返ると、瞑想したポーズでいる事に気づき、不思議な感覚を覚えました。
しかしそれは一度ではなく、瞑想する度に不思議な夢の中へと引き込まれていったのです。
その夢の時間はだんだん長くなっていってました。
いつのまにか、あちらの家族といる事が楽しみの一つとなってました。
無論、現世の妻も愛してるのですが、
カオリといる時の、愛くるしい笑顔が自分を包む感じが、現実でいる時でさえ忘れられないものとなったのです。
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ある日、カオリと些細な事で喧嘩をしてしまい、夢から現実に引き戻されてからもひどく気になっていました。
謝りたい気持ちもあり、夢の中へ行こうとするのですが、瞑想しても行く事ができません。
思い悩んだAさんは、知り合いの有名な高僧に、(実存してますが、名前は忘れました。もう亡くなられてます)
今までの経緯を話しました。(カオリと夢の中の子供の事は話していない。あくまで瞑想の過程で起こる夢の事だけ)
その高僧は「明日又来なさい」と言い、Aさんを帰しました。
Aさんが翌日高僧を訪ねると、その高僧はこう言いました。
「昨日あなたの家族(夢)と会って来ました。
カオリさんもあなたと喧嘩した事をひどく気にしており、
あなたが帰って来ないのは、自分のせいだと思っていますが、
気丈な彼女は子供と、元気にあなたが帰ってくる事を信じています」
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「どうすればまた彼女に会えるのですか?」
「結論から言えば、あなたはもう、あちらの家族とは会ってはいけない。
この世界は、何次元もの世界が重なり合ってできています。
あなたは瞑想がきっかけで、そちらの次元を覗いてしまった。
カオリさんと子供は、言うなれば魑魅魍魎のたぐいなのです。
このままそちらの世界に行き続ければ、現実の生活でよくない事が起きる。
その事をカオリさんにも説明してきました」
「せめて、彼女に別れの挨拶をさせてください」
「いいでしょう。彼女に別れを告げ、あちらの世界とは縁を切りなさい」
そう言うと、高僧はAさんに瞑想をさせました。
そうすると夢の中へと引き込まれる空気が感じられ、Aさんは夢の中へ行きました。
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夢の中の家へと久しぶりに帰ると、台所の居間でカオリさんが座っていました。
「お帰り」
彼女はそう言いました。
昨日高僧が来て彼女には説明をしており、彼女も全てを悟っているようで、いささか元気がない様子です。
「ごめん。もう帰ってくる事はできない」
「分かっているわ。永遠にさよならね」
「ごめん・・・・ご・・め・・・・・・ん」
もう二人とも言葉になりませんでした。
Aさんとカオリさんは、最後に別れのキスをしました。
A「さようなら・・・元気で・・・」
カオリ「さようなら・・・あなたも元気で・・・」
さよならの挨拶を言うと、Aさんは現実の世界へと引き戻されていました。頬には涙が伝っていました。
「あちらの世界へと行く穴は閉じました、もう瞑想しても行く事はありません。
世の中には不思議な事があるのです」
高僧は全てを悟っている様子で、そう言いました。
Aさんは瞑想をしても、二度とあちらへ行く事はありませんでした。
Aさんにとっては凄く不思議な体験で、大事な思い出として心に残ってるそうです。
引用元:https://hobby2.5ch.net/test/read.cgi/occult/1038209969/
コメント
コメント一覧
高僧「自分はいつでも扉開いてあっちいけるんだけど高僧ムーブメントで野暮な事言わないんだ」
むろん、稚拙な部分は山ほどあります。カオリさんはなぜ亡くなったのかな? A氏はすでに後妻と子供までいるくらいだから、カオリさんが死んだ時は今のA氏よりずっと若かったはず。「愛くるしい笑顔」と書かれているだけで、若いカオリさんの容姿をもっと詳しく描写しなかったのはサービス不足。
しかし、例えば『山月記』の李徴が、虎に変わった当初はなぜ虎になったのかと思いながら、やがてはなぜ自分はかつて人間だったのかと意識が逆転したように、A氏も初めはカオリのいる別世界へ行っているつもりが、いつしかカオリのいる世界が実在で、現実の妻子がいる方が幻覚なのだと思うようになる、そんな展開も私は想像してみました。結果は悲惨なものになりそうですが。
うまく書き込めば『山月記』並みの伝記小説になりそうな……。
カオリ、しんだの?
短い文面、簡単な漢字も使っていないので、小学校低学年か、ひょっとすると幼稚園の年長組の坊や(嬢や)のコメントでしょうかね? 私は ”原則として” 一つの投稿には2回以上コメントしない事にしていますが、幼い子供の真摯な疑問を捨て置くのも気が引けるので、改めて回答を。
たしかに、おはなしのなかでは カオリさんがしんだとは かいてありませんね。ぼうや(じょうや)はまだ、ながいぶんしょうや むずかしいかんじが よめないから、わからなかったのでしょう。
「現世の妻ではないカオリ」とあります。現世の妻は げんせのつま とよみます。ひとがしんだら 「あのよ」へいくと きいたことがあるでしょう? あのよ(あの世)は らいせ といいますが、はんたいに われわれがいきているのが「このよ(この世)」で、げんせ です。カオリさんは げんせのつまでない とかいてありますから、もう しんでいるのです。
おはなしのまんなかころに、「カオリさんと子供は、言うなれば魑魅魍魎のたぐいなのです」とあります。魑魅魍魎はむずかしいかんじですが、ちみもうりょう とよみます。これは「おばけ」のことです。カオリさんはおばけになった といわれています。おばけになったのだから もちろんいきてはいません。かわいそうですが、カオリさんは しんでいるのです。
わかりましたか? いまはむずかしいなとおもっても、あなたがおおきくなったら わかるようになります。しっかりべんきょうしてね。
へそきちきもい
昔他のサイトで夢路幻灯斎ってコテハン使ってた方ですか?
やむを得ず3回目のコメント。私は以前から他にも幾つものサイトにコメントや創作話を投稿して来ましたが、すべて「へそ吉」で、それ以外の固定ハンドルネームを用いた事はありませんし、「夢路幻灯斎」と言う名も初めて知りました。
ここではもうこれ以上のコメントは控えます。
普段はへそ吉嫌いじゃないけど、これはちょっと意地悪だね。
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