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98 :本当にあった怖い名無し:2009/10/17(土) 11:23:58 ID:T+d0OgtN0
同じ家とか場所とかを、繰り返し夢に見ることはあるだろうか。
別に続きモノって事ではなく、ホラーであったり日常的であったりと、
関連性はないけど舞台がいつもそこってやつ。
大抵は昔住んでた家だとか、友人や親戚の家だったりとか。
でも全く覚えがない場所だが、よく夢に見るということがある。
学校でそんな話をしていて、友人が教えてくれた話。




99 :本当にあった怖い名無し:2009/10/17(土) 11:25:09 ID:T+d0OgtN0
彼は昔からよく夢に見る場所があった。
ちょっとばかり洋風の普通にある住宅で、2階建てだという。
いつから見るようになったのかは覚えていないが、
中学に入ったときにはすでに、『ああ、またか』と思えるくらいだった。

彼にはとても仲のよい友人Kがいた。
家が近所で母親同士も仲がよかったため、お互いの家を行き来して、毎日のように遊んでいた。
好きな漫画もゲームで使うキャラも一緒。
成績も同じくらいで、身長体重も変わらない。

中学1年の時に、いつも通り遊んでいると夢の話になった。
「いっつも同じ家の夢をみるんだよ」
食いついてきたKも、同じような体験をすることがあるらしい。
メモ用紙に家の間取りを書いて説明すると、Kも同じだと言った。
いろいろ話している内に、全く同じ家のように感じた。
奇妙な偶然に好奇心が刺激され、お互いの夢の話をすることが多くなった。
家は割と広くて、4、5人の家族が住めそうな所。
だけど二人とも、1階の角部屋だけは入ったことがない。
中学という微妙な年齢のこともあって、どちらが先にあの部屋に入るか競争しようということになった。

その頃から悪夢が続くようになった。
家の中を包丁をもった殺人鬼に追い回されたり、姿の見えない幽霊に追いかけられたり。
例の部屋に近づくことは出来なかった。
最初は「俺たち前世で兄弟だったんじゃね?」と盛り上がっていたが、次第に夢の話はしなくなった。



100 :本当にあった怖い名無し:2009/10/17(土) 11:26:26 ID:T+d0OgtN0
彼曰く、「あまりに似すぎている自分たちが、正直気味が悪くなった」と。
「顔は似てるわけではないけど、本人達にしか分からないシンパシーのような物があるんだ」と。
それは彼も同じだったようで、高校は別の所を選んだ。
でも仲のよい親友であることには変わりなく、電話で話したりはしていた。
部活や進路を決めるような時には、お互い別々にしようと暗黙の了解があった。

大学に進む頃には、違う生活環境で次第に疎遠になっていた。
冬休みに実家に帰省すると、久しぶりにKから年賀状が届いていた。
年賀状にはペットの犬の写真。
『ああ、チョコまだ生きてるんだ』と懐かしかった。
印刷の『あけましておめでとう』の下に、小さく書かれたKの筆跡。
『あの部屋に呼ばれた。俺が先に行くぜ』
その言葉に血の気が引いた。
数日前に見た夢で、彼も部屋に呼ばれたのだ。
変わらず一定周期であの夢は見ていたが、そのときはなんだか雰囲気が違った。
誰もいない家の中を歩いていると、なんとなく『ああ、今ならそこに行けるな』という気分になったという。
ただ彼は行けなかった。行こうとしたときに携帯が鳴って起こされた。

学校が始まってしばらくしたときに、母から電話がきた。
Kが行方不明になったらしい。
一人暮らしをしていたアパートから忽然と姿が見えなくなったと、何か知らないかと、
Kの親が聞きにきたというのだ。
もちろん夢の話など出来るはずもなく、知らないと言うしかなかった。
それから半年以上が経ったが、まだKは見つからない。



101 :本当にあった怖い名無し:2009/10/17(土) 11:27:06 ID:T+d0OgtN0
疎遠にはなっていたが、とても寂しくて仕方がないと落ち込んでいた。
先を越されたと、悔しい気持ちもあるんだと。

たいして怖くもないかもしれないけど、正直俺はぞっとした。
俺もまた同じように毎度でてくる家がある。
「夢で見たことを他人に話してはいけない」と祖母が言っていた。
それまでなんとなく言いつけを守っていたけど、そういうことかと納得した。


引用元:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1631828149/