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765: 歪みの向こう側1/2 2007/02/15(木) 19:07:41 ID:dBCP33uV0
中学生のときだったかな。
休みの日に、友達に公衆電話から呼び出されて、
部活なんかもやってない俺が、しぶしぶ学校に行った。
そいつは野球部のやつで、何で公衆電話からなんだろう、
と少し変に思いながら。

部活が終わったのがその時間なのか、呼び出されたのは夕方で、
陽もすでに落ちかけてて、学校内も人がまばらになっていた。
さすがに職員室には教師が数人いたと思うけど、
友達が来てくれと指定した場所は3階の教室の前だった。


階段を上り、廊下に出ると、
夕陽のまぶしい光が直接目に飛び込んできた。
少し目がくらんで、その後よく廊下の先を見てみると、
人影があった。

俺はそいつだと思って目をこすりながら近づこうとして、
待てよ、何かおかしいぞという事に気がついた。

廊下が歪んでる。

歪んでる、というのは誇張でもなんでもなくて、
目を凝らしたけど、本当にぐにゃぐにゃと陽炎みたいになっていた。
廊下の脇に角材が置いてあったんだけど、
それも途中まではまっすぐなっていて、
途中からぐにゃぐにゃと歪んで揺れていた。



766: 歪みの向こう側2/2 2007/02/15(木) 19:08:48 ID:dBCP33uV0
そして、俺を呼び出した「友達」が、
その歪みの「向こう側」に居ること。
終始、逆光で、黒い影しか見えなかったこと。
よく考えれば不可解なことが、一瞬で頭を駆け巡り、
逃げようと決めた、その時だった。

影が突然縦に細くなり、
ものすごい速さで揺れ始めた。
影絵「パンを踏んだ娘」みたいな感じで、
ぐにゃぐにゃ、ぐにゃぐにゃと。

あわてて階段を駆け下りて、
一階の職員室に飛び込むまでとても長かった。
事情を説明しても信用されるとは考えず、
でも教師に会えた事で少し安心感が沸き、
苦笑いで部屋を後にした。

結局、まあ今考えるとやっぱりというか、
その友達は俺を呼び出してはいないということだった。
学校が結構田舎くさい場所にあったから、
何か因縁めいた話でもあるのかな、と思っていたが、
そういう話も無く、謎は謎のまま終わってしまった。

ただ今でも、
あのまま歪んだ先へと行っていたらどうなっていたのか、
ということだけはあまり考えないようにしている。


引用元:https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1170418958/