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20/09/12
私の実体験です。

私は某政令市で公務員をしています。
もう異動しましたが、市の施設管理をしている部署にいた時のことです。

とある施設の取り壊しをすることになり、上司と一緒に状態を確認しに行きました。
その施設は、5階建ての建物で、元は林間学校用の宿泊施設でした。今は福祉関係の事業者にフロア毎に貸して、それぞれの法人が業務を行っています。

取り壊しの方針が決まっていたため、退去が進んでいて、3階と5階は誰も使っていませんでした。
施設に到着して、1階から順番にエレベーターを使って見ていきました。

5階のフロアを見て回っている時でした。
上司が「へぇ。大浴場は5階なんだ」と言いました。

施設は海の近くに建っていたからか、大浴場は見晴らしの良い5階にありました。
上司が言い終わった直後、大浴場の扉が小さく「トントン」と鳴りました。

その時は特に恐怖は感じず、浴室の窓が開いているのか、風だろうと思いました。
しかし、上司と大浴場から遠ざかるほど、扉の音が大きくなっていきました。

「あれ、風ですかね?」と私は上司に言いました。
「風だろう。このフロアは使ってないんだから。」
「でも、外見てください。風なんてほとんど吹いてません。」
海に近いので、無風ではありません。

しかし、今や扉は「ドンドンドンドン」とフロアに響き渡る音で鳴っています。そこまでの風は吹いていませんでした。

私達は足早にフロアを回り、エレベーターに乗りました。扉の音はずっと、「ドンドンドンドン」と鳴り続けていました。

あれは一体なんだったんでしょう。扉を開けたらどうなったのか気になります。


投稿者:はやなり様