川

332: ・・と思ったがやっぱちげーわ1/3@\(^o^)/ 2014/05/03(土) 17:00:38.64 ID:YRyADr1x0
田舎住まいだった私が上京して大学二回生の夏休み、
友達のAと共通の趣味であった渓流釣りの計画が盛り上がり、
源流を目指してキャンプ道具を背負いながら
泊りがけで釣りに行った時の話です。
私たちは意気揚々と渓谷へと足を踏み出したのでした……。
渇水期の渓谷は人の気配など皆無で、
毛鉤を入れると必ずといっていいほど連れる良型の岩魚に気分をよくしながら
友人のAとかわるがわる竿を入れつつ釣りあがって行くと、
自分たちより先に渓谷に入ったとおぼしき人が釣りをしています。
話しかけると、その人も一人で源流を目指し、一泊の予定で源流釣行に来たということです。

その人はsといい、大学でロッククライミング部に所属してバリバリナラしたそうで、
見るからに筋肉質ですごいガタイをしているのがフィッシングウェザーの上からでもわかるほどでした。
年を聞くと自分たちと同い年とわかり意気投合した私とA、知り合ったSの3人は今日からの一泊二日を
共にする事になったのでした。



333: ・・と思ったがやっぱちげーわ2/3@\(^o^)/ 2014/05/03(土) 17:01:48.55 ID:YRyADr1x0
その日はほんとに爆釣で、大きめにビクにも入りきれないほどの岩魚と、
蕨やふきのとうなどの山の幸を収穫しつつ順調につりあがった私たちは、
一つ目の魚止めの滝に遭遇しました。本来はここでキャンプを張って一泊する予定だったのですが
Sというロッククライミングの達人と知り合ってしまったがため、私がAに
Sもいることだしもっと上に行こうと提案しましたが、Aの顔が急に曇り始めました。
詳しく問いただすと、コンビニで遭遇した爺さんいわく、この先は「ヤバイ」とのことでした。
しかしSのサポートもあってかこの岩壁を先導したSの足らすロープを使い
私たちはさらに奥地へと進むことになったのでした。
魚止めと人止めを兼ねた滝を登りきった私たちはまさに秘境とも言うべき未開に近い渓谷を
意気揚々と釣りあがりました。しばらくすると日が暮れ始め、ちょっと開けた場所に出た私たちは
そこでキャンプを開くことにしました。沢山釣りすぎた岩魚をさしみや塩焼き、岩魚の骨酒などにしたり
山菜と、持参した米で作った炊き込みご飯で舌鼓を打った私たちは一休みすると
せっかくだから夜釣りに出ようという事になりヘッドライトを使いつつ夜釣りに出る事になりました。



334: ・・と思ったがやっぱちげーわ3/3@\(^o^)/ 2014/05/03(土) 17:06:10.79 ID:YRyADr1x0
A「なぁ、木の下にだれかしゃがんでない?」
確かになにかがいます。
「やばい……人間じゃない………」なんとそれは熊でした。
くまの攻撃を受けたAはわき腹をえぐられながらも持っていたナタで熊の目を
つぶしてやったのでした。
思わぬ反撃を食らった熊は逃げ帰っていきました。
とても源流釣行どころではなくなった私たちは
道具もそのままにAに肩を貸しつつ沢を降りる事になりました。
しかし出血の激しいAはとても滝をロープで降りれる状態ではなく、
Sが一人で沢を下りレスキュー隊を呼んでくることになりました。
Aの付き添いで残る事になった私はAを気遣いつつ滝から広がる景色を見ていると
Sのヘッドライトが動いていくのが見えます。負傷したAの為か、
ものすごい速さで移動するライトの光を眺めつつ
「全速力で走ってるのか、ありがとう…S……」と思いつつ、
決して人間が足場の悪い渓谷で動ける速さではない光を、
不規則な動きをする光を僕達は見送りました。


引用元:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1397557403/