公園

503: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 02/05/25 05:12
もう十年以上前に大学のクラブで合宿に行ったとき、
同級のSが、あまり話したくないと言いつつ不思議な話をしてくれた。
長いから何回かに分けるけど。

Sが小学生だった時、友達7人と近所の公園で缶けりをして遊んでいた。
Sともう一人の友達は、すぐに鬼に見つかってしまい、鬼と一緒に他の子を探していた。

その公園には本物の古い機関車が置いてあったんだが、その陰にN君が隠れているのを鬼が見つけた。鬼は「見つけた!」と叫びながら、N君を追いかけた。Sともう一人の友達も鬼についていった。

N君は走り出して、機関車の裏側の方に曲がった。
3~4m後ろから鬼とS達も続いて曲がった。時間にして1・2秒の違いで。
しかしそこにはN君はいなかった。

どこかに隠れるほどの時間はなかったはずなのに、曲がった瞬間N君の姿は消えていた。S達は念のため機関車や周辺も探したが、どこにもいなかった。

S達3人はN君が隠れたんじゃなくて、消えてしまったんだとわかっていた。
他の子達がどんどん見つかっていく中、結局最後までN君は出てこなかった。
 続く



504: 503 02/05/25 05:13
続き
N君は最後まで見つからなかったが、小学生だったS達は不思議に思いながらも
そのままみんな帰宅してしまった。

そしてその晩遅く、Sの家に警察がやってきて、N君がまだ家に帰ってないことを知った。

Sは事情を聞かれて、N君が目の前で消えてしまったこと説明した。
警察は一緒にいた他の2人にもすでに話しを聴いていたらしく、N君は誰かに誘拐されたんだろうという線で調べているようだった。

機関車の陰にいた誰かがN君を捕まえてさらっていったというような感じで推測しているようだった。誘拐じゃなくて消えちゃったんだと何度も説明したが相手にしてもらえなかった。
結局、誘拐事件ということで捜査は進み、後日新聞にも出たらしい。

Sはその後、何度も警察から事情を聴かれた。警察はあくまでも誘拐として捜査し続けていたが、結局何の進展もなく、もちろんN君も見つからなかった。
続く



505: 503 02/05/25 05:15
 続き
それから半年ほどすると、今度はSのところへ京都大学の教授がやってきた。
N君の件で京大と東大の合同チームを作って調査することになったらしい。

彼らは警察では相手にしてもらえなかった、N君が消えたというS達の主張を真剣に聞いてくれた。
彼らはN君が消えた公園を工事用の高いシートで周りを覆ってしまい、機関車を全て分解し、地中も掘り起こしたりして調べていた。

そして夏、夕立が来そうな天気の時は時空の状態に異変が起きることがあって、今までにもこういうことが起きた例があると言っていた。
その後も毎年N君が消えた同月同日の同じ時間に、N君と同じ大きさの人形を機関車の横を通らせて実験しているということだ。

Sは今でも消える直前のN君の表情が忘れられないそうだ。
後ろを振り向きながら鬼から逃げる、引きつった顔を。

Sの話しはこれで終わりじゃない。続きがある。



508: 503 02/05/25 05:45
その後N君のお母さんは精神的にまいってしまったらしくて、Sが学校から帰ろうとすると校門のところで待っていて、「S君、S君、新しい情報が入ったわよ。」などと言って4次元の世界とか悪魔の話しとかかなりの電波を飛ばしたらしい。

あの時、缶けりをした他の7人とはその後も仲が良かったが、Sは中学生の終わりに親の転勤で引越ししてしまう。

そして、その後なぜか次々とその友達が死んじゃうんだよね。
それも奇妙な事件で。



509: 503 02/05/25 06:03
 続き
最初に死んじゃったのは女の子だったんだけど、Sはその子の事は話したくないと言って、教えてくれなかった。
7人のうち女の子はその子ひとりだけだった。

次に、Sが引越ししてからすぐ、一人の友達の母親から電話がかかってきた。
そして、いきなり「お前のせいでうちの息子は死んだんだ。」みたいな事を言われたらしい。Sは訳がわからず、地元の他の友達に電話してみたらその友達がバイク事故で死んだという話しを聞いた。

でも、中学生なのにバイク事故というのもおかしな話しだし、他の友達もはっきりと原因が判らないらしかった。
あいつも消えちゃったんだよ、なんて言う友達もいたらしい。
 続く



513: 503 02/05/25 06:57
 続き
次は高校に入ってすぐ。
その友達は、高校の友達と家で酒を飲んでいたらしい。
そして家が小学校の近くだったので、夜中にふざけて小学校にしのびこんだ。
たまたま校舎の窓のカギが開いてて、中に入って遊んでいた。

その学校は古い建物で、3階の廊下に開かずの扉があった。
扉の向こうに本来ならばベランダか外階段があるはずなのに、扉を開けても何にもなく、ただ壁に扉が付いているだけという不思議なつくりだった。

もちろん常にカギがかかっていて、その上外側から板で絶対に開かないように何重にも打ち付けてあった。



514: 503 02/05/25 06:58
 続き
その友達はふざけて、その開かずの扉のノブを回した。
すると絶対開かないはずの扉が開いて、友達は下に落ちてしまった。
あわてて他の友達が駆け寄ったが扉は閉まってしまい、今度はどうやっても開かなかった。

外に出てみると、友達は下のコンクリートに頭をぶつけて倒れていた。
そして運ばれた病院で息を引き取った。

目撃していた友達は、開かずの扉から落ちたと言い張ったのだか警察はその扉から3mも離れた窓から落ちたということにしたらしい。
なぜなら扉が開いた形跡は全くなかったからだ。
でも何故か友達はその扉の真下に倒れていた。



516: 503 02/05/25 07:15
 続き
その後Sは高校を卒業して、予備校に通っていた。
ある晩、家にいると缶けりをした7人のうちのひとりから電話がかかってきた。
彼はすでに東京で大学生活を行っていた。何年かぶりに話しをすると彼はしきりにSのことを懐かしがっていたそうだ。

今度会おうと言われたが、Sは自分がまだ浪人中という引け目から、具体的な約束をせずに電話を切った。

その後しばらくして違う友達から、彼が死んだという連絡を受けた。
かれは大学の自転車部に所属していて、合宿練習でロードに出ている時、車にはねられてしまったのだ。

そして彼が死んだのは、Sが彼と電話で話した日の夜で、その時間は、彼は自転車の上にいたはずだったことをSは知った。



522: 503 02/05/25 07:29
 続き
ここまでがSがその時話してくれた内容。
この話しを聞いたのが大学1年の夏で、Sとは知り合ってまだ半年も経ってなかった。
正直、こいつとは仲良くなっていいんだろうかと真剣に考えた。
合宿中の先輩達のSに対する態度もあきらかに特別なものがあったような。

最後にSが、生きているのは3人になっちゃった、って言った瞬間はSの顔が死神に見えた。

そしてその時は、早くも半年後にそれがふたりになるとは思ってもみなかった。



526: 503 02/05/25 07:44
続き
ある日、新聞の3面記事で事故のニュースを読んだ。
秋葉原駅で出発しようとした電車の前に人が落ちて、ひかれて死んだらしい。
新聞記事には運転手は落ちるところを不思議と見ていなかったと書いてあった。
小さな記事だったが、その書き方が新聞らしからぬ、何だか怪事件みたいな奇妙な書き方だったので気になっていた。

そして実はそれがSの友達だったらしい。



528: 503 02/05/25 08:10
 続き
一緒にいた友達の証言によると、その友達は秋葉原で何人かと酒を飲んでいた。

ひとりの友達が酔っ払ってつぶれてしまったので、もう一人の友達とそいつを抱えて電車に乗せた。その後、事故にあった彼は帰りが逆方向だったので急いで電車を降りたそうだ。
扉が閉まり、走りだした直後にその電車は急に止まってしまった。

電車に乗っていた友達は、どうやら人身事故らしく、いつになっても動き出す気配がないので、あきらめて酔っ払った友達とタクシーで帰った。
事故にあったのがその友達だと知ったのは翌日になってからだった。

Sが言うには彼らは電車の真ん中あたりに乗っていたそうだ。
また彼が電車を降りてから、動き出すまで何秒もなかったらしい。
電車を降りてから、動きだすまでの短時間にどうやって電車の前まで移動できたのだろう。



530: 503 02/05/25 08:20
これでSの話は終わりです。
もしかすると俺はSのネタに付き合わされただけかもしれないけど、全部がネタだとしたらSは天才だと思う。

ちなみにSは今でも生きてます。銀行に勤めて子供までいる。
その後、こんな話しはしたことないのでもう一人の生き残りがどうしているかは知りません。


引用元:https://curry.5ch.net/test/read.cgi/occult/1019891278/