倉庫

510: 味ポン 2001/07/22(日) 21:54
百物語に書きそびれ、死ぬほど怖くもないのでここにします。

3年前、私は某会社の倉庫兼配送センターでバイトしていました。
そこは1Fがトラックの搬入口、2Fの半分は事務所で後は商品の梱包所、
3F~5Fは倉庫になっています。
私は2Fの事務所で事務の仕事に就いていました。

蒸し暑い夏のある日、仕事が終わらず残業をしていた時の事です。
残っていたのは私とSさんだけでした。
ここではSさんと呼びますがどうしても彼女の名前が思い出せません。
Sさんは当時35歳で化粧もせず地味な感じの女性です。
「死んだ人の霊より生霊の方が怖いわよ」と急に言い出す事もあり
優しい方でしたが何か不思議な感じのする人でした。

8:00を過ぎても中々仕事が片付きません。
普段は騒々しい所だったので妙に事務所内がシーンと感じます。
彼女も黙々と仕事をこなしています。車の音、虫の鳴き声さえ聞こえません。
私は急に静けさが怖くなってSさんに話をしようと口を開いた瞬間

ガラガラガラガラァァァ――――――――!

突然もの凄い音が響きわたりました。
驚いて立ち上がるとまた同じ音が聞こえます。
どうも3Fで誰かが台車を勢い良く走らせている音の様です。
私は咄嗟に泥棒だと思いました。



511: 味ポン 2001/07/22(日) 21:55
「警察に電話して早く逃げましょう!」

私はそう叫びました。女2人では泥棒に太刀打ち出来ません。
Sさんを見ると目を閉じて何事かを小さな声でブツブツと呟いています。

「何してるんですか!ここを出ましょうよ!」
彼女は押し殺したような、有無を言わさない強い口調で
「静かに、黙りなさい。あれは、人間じゃない」

なにか言い返そうとしましたが何故か声が出ません。
そして一瞬静寂が訪れたかと思うと今度は違う音が聞こえます。

ゴォンゴォンガタン

業務用の大きなエレベーターが動いています。
事務所からもそのエレベーターは見える位置にありました。
私が見たときには3Fに止まっており、▼のマークになりました。
全身が総毛立ち逃げようとしても体が動きません。
何かがエレベーターに乗っている!ここに来る!



512: 味ポン 2001/07/22(日) 21:56
そしてガタァンと音がして2Fで止まり、ガ―ンと扉が開きました。
その瞬間Sさんは一喝する様な声を出し、金縛りみたいになっていた
私は体が動き咄嗟に耳を塞いでうずくまりました。
彼女は何か必死で叫んでいますが聞き取れません。物凄い恐怖でした。
私は「助けて!」と心で叫びながら震えている事しか出来ませんでした。
そんな中突然、髪の毛をグイッと引っ張られ

「クックックッグッゥゥ……」

泣き声とも笑い声ともつかない男の声を耳元で聞き失神してしまいました。
気がつくと彼女に「もう大丈夫だから帰ろう」と起こされ
私達は逃げるように家に帰りました。

不思議なのは家に帰った時間が12:00を過ぎていた事です。
気を失っていた時間は5分ほどだったと彼女に聞いていたし、
感覚的に9:00頃に起こった事だと思っていたからです。
3日後(会社を休んだ)彼女に会うと右半身に真っ赤な湿疹がでていました。
「心配しないで~」と笑っていましたがあれは何故でしょうか。
その時の事は私には恐ろしすぎて、その話題を口にする事なく
会社を辞めました。Sさんは御主人の転勤で九州に行かれたそうです。

エレベーターに何が乗っていたのかSさんにしか解りません。
あまり霊感の無い私でも得体の知れないモノの気配は感じました。
私は音と声だけしか聞いていませんがあの声は今でも耳に残っています。
あんまり怖くない上に長文ですいません。
でも実話ですので許して下さい。


引用元:http://2ch.nvxi.jp/r8/logs/993172851