夜道

708: クランツ ◆Xgg113Pc 02/04/04 22:49
…このスレッドに書き込まなきゃ!という記憶、 
一昨年にタクシーの運ちゃんから聞いた体験談と判明。 
2000年1~12月にネット上で付けていた日記のファイルから抜粋します。 



709: クランツ ◆Xgg113Pc 02/04/04 22:52
…とある土曜日、非番の彼(運転手)は朝から後楽園の場外馬券売り場にいた。 
午後にちょっとした用事があったので、11時には当日レースの馬券をすべて買い終え、レースはラジオで聞くことにして早々と駅に向かった。彼が向かったのは都営三田線の後楽園駅。 
切符を買い、自動改札機に入れる。 
すると、扉が閉まって警告音が鳴った。 
自動改札機から飛び出ている切符を取ると、他人の切符。 
その後からすぐさま自分の切符が出てきた。 
「あ、前の人の取り忘れか」 
…改札内に目をやると、 
黒い服に黒い帽子を目深に被った男が階段を降りてゆく。 
辺りには自分とその男だけ。切符を渡そうと、彼は走るでもなく後を追った。 

(続く)



710: クランツ ◆Xgg113Pc 02/04/04 22:57
(続き) 
階段の3メートルほど先をその男が降りている。 
男を視線の端で捉えつつ、彼も階段を降りてゆく。 
そのときふと、彼は手にした競馬新聞を持ちかえるべく男から目を離したそうだ。 
視線を上げると、男が階段を降りきって、右手のほうに向かうのが見えた。 

数秒後、彼は愕然とした。 
階段を降りきったそこは、ホームの先頭。 
言い換えれば、ホームの先頭にある階段を降りてきたことになる。 
右に曲がって歩いてゆくことなど考えられなかった。 
慌てて辺りを見まわすも、男の姿はどこにも見当たらなかった。 
ましてやたった今、列車が到着・発車した形跡なんてなかった。 

運転手「…そん時ね、何が気味悪かったってさ、 そいつの買った切符を握ってたことなんだよね。ブルブル震えながら、線路に投げ捨てましたよ。。」 



712: クランツ ◆Xgg113Pc 02/04/04 23:08
もうひとつ、同じ運転手から聞いた話。 
お客として乗せた、とあるマジメそうな主婦が語った体験談です。 

…彼女が小学校低学年のとき、よく電車に乗って祖母の家へ遊びに行っていた。その祖母に「電車に乗る時は、ホームと電車の隙間に落ちないよう気をつけなさい」とよく言われた。いつもは優しい祖母も、その時は厳しい口調で話しかけるため、電車が来るとすぐ顔をうつむけて気をつけるクセがついてしまった。 

ある日、いつものように祖母の家からの帰り。 
彼女は一人で地下鉄を待っていた。電車が入ってくると、いつものようにその空間を見つめはじめた。 
電車が止まり、扉が開く。 
慎重にホームから車両へ、うつむいたまま足を踏み出した瞬間。 

その隙間から、逆さ向きの笑顔が見えたのだという。 
それは首だけの、男性の笑顔だった。 


…以上、2000年12月8日に駒込→新宿間を移動中に聞きました。 


引用元:http://curry.5ch.net/test/read.cgi/occult/1011415660/