夜道

430:先客1/5:2009/05/28(木) 19:08:55 ID:1ml7x3Fa0
友人から聞いた話。 

M子さんは新宿から私鉄で一時間ほどのところに 
住んでいる。 
その日は連続していた残業が終わり、土曜日の休日出勤と 
いう事もあって同僚と深夜まで飲んで終電で帰る事になった。 

M子さんの通っている駅前には普段からタクシーが少なく 
深夜近くなるとタクシー待ちの列が出来ている事が多い。 
いつも利用してるバスの最終は早く、この一週間ほどは 
帰宅時間が遅くて毎晩タクシーを利用していた。 
覚悟して駅前に行くと、珍しくタクシー待ちの列が無い。中年の 
女性が一人立っているだけだ。 

(そうか。今日は土曜日だっけ) 

ホッとしてタクシー乗り場へ向かおうとすると、階段を駆け降りてくる 
足音が聞こえ、M子さんを追い越してサラリーマン風の男が 
中年女性の後ろに並んだ。 

あっけにとられると同時に少しムッとしたが、まあ二人だけだし 
そんなに待たずにすぐにタクシーに乗れるだろう。 
M子さんは男の後ろに並んだ。 
程なく一台のタクシーがやって来て中年女性を運んで行った。 

(よし。あと二台だ) 



431:先客2/5:2009/05/28(木) 19:12:18 ID:1ml7x3Fa0
一台目が去って15分も待った頃後ろで駅の階段の 
シャッターが大きな音を立てて閉った。 
振り向くと駅員が点検しながら事務所へ入って行く。 

(私がタクシー待ちしてる間に電気が消えたりするのだろうか? 
駅員さんとか居なくなるのだろうか?) 

携帯で自宅に連絡したM子さんが 
そんな事を考えているとタクシーのヘッドライトが見えた。 
やって来たタクシーにサラリーマンが乗り込む。 
駅前から遠ざかるタクシーを見送りながら、M子さんは 
ふと思った。 

(このタクシーが来るのに20分。普段より待ち時間が長いな) 

いつもはもう少しタクシーの回転数は早くなかっただろうか。 
最初のタクシーが黒で今のタクシーも黒。いつもは白いタクシー 
も居なかったかな? 
休日なのでまさか一台のタクシーで使い回し? 

20分程経つとタクシーがやって来た。黒のタクシーだった。 
やはり一台きりで営業していたのだろう。 
M子さんはタクシーに乗り、行先を告げた。 
「○○町まで」 



432:先客3/5:2009/05/28(木) 19:13:00 ID:1ml7x3Fa0
「××重機へお願いします」 
M子さんの自宅に近づいたので、目印になる某有名メーカー 
の建設機械置き場を運転手に告げた。 
M子さんの自宅は、建設機械置き場に隣接した小さな用水路を 
渡った農道沿いにあり、車は入れない。 

『お仕事、大変ですなぁ。夜勤か何かで?』 
運転手が話し掛けてきたが、M子さんは疲れていたし面倒なので 
「ええ、まあ」などと曖昧に答えた。 

建設機械置き場に近づいたので、財布からタクシー代を出そうと 
していると運転手が言った。 
『お客さん、××重機の人?』 

お節介な運転手だな、いったい何が言いたいのだろうか? 

「いいえ。違いますよ」 

と強く言うと、何とタクシーは建設機械置き場を通過して行く。 
ビックリしてM子さんは 

「ああ、ここです、ここで・・・」 



433:先客4/5:2009/05/28(木) 19:14:28 ID:1ml7x3Fa0
「運転手さん、ここで良いですよ!」 
ムッとしたM子さんが言うと、運転手は走りながら 
『お客さん、火曜日にも乗ったでしょ?』と言った。 

そういう間にどんどん走って行く。確かに今週はタクシーを 
毎晩使ったが、それがどうしたんだろうか? 
訳が分からず固まってしまったM子さん。 
2~3分たったろうか、国道を走るとコンビニの灯りが見えて 
タクシーは駐車場へ入った。 
タクシーを止めると、後ろを振り向いて運転手が言った。 

『ごめんなさい、お客さん。でもちょっとあれはねェ・・』 

運転手は名刺を取り出し、会社の電話番号はここにあるので 
苦情が有れば私の名前を言って、電話して構わないから、と 
前置きして言った。 

火曜日にM子さんを載せたのは、このタクシーだった。 
初めは気が付かなかったのだが、例の××重機という名前で 
思い出したのだそうだ。 



434:先客5/5:2009/05/28(木) 19:15:19 ID:1ml7x3Fa0
『実は、お客さんの前に、男を乗せたんだけどね』 

M子さんを追い越して行ったサラリーマンだ。 

『その男がね、××重機で降りたんだよ』 

タクシーの中で、男は携帯で電話していた。 
(もうすぐ付くから)とか(何分後だ)とか話していたのだという。 
そう言えば、運転手はしきりに夜勤がどうの、××重機がどうの 
と言っていたのを思い出したが、なぜここまで通り過ぎたのかが 
分からない。M子さんが尋ねると 

『お客さんは、××重機の人じゃなさそうだし、火曜日もここまで 
来たでしょ。まあ良いか、とは思ったんだけどね』 

××重機の事務所は電気点いてないし、あの男もここの社員じゃない 
んだろうなぁとボンヤリ考えていたら、道の反対側にワンボックス 
が一台停まっていたのに気が付いたのだそうだ。 

『4人くらい乗ってたかなぁ。それがライトが当たるとね、サッと 
隠れたんだよ。あやしいだろう。しかも運転席に居たのは 
間違いなくあの男だったからねェ、何かあっても俺も怖いし』 

M子さんは携帯で母親に話したのを思いだしてゾッとした。 

(うん・・今駅。タクシーに乗るから・・××重機まで・・) 



436:本当にあった怖い名無し:2009/05/28(木) 20:37:29 ID:oQi4OP5H0
>>434
怖いな。つーか、運転手GJ 


引用元:http://toro.2ch.net/test/read.cgi/occult/1243074720