10/08/11
一つ怖かった体験を書きます。
僕が18歳の時、ある男の人と出会いました。
今にして思うとこの方との出会いこそが’恐怖体験’だったのだなぁーと思います。
知り合った場所は、バイト場。僕の4歳年上な彼を仮に綿野さんとします。
似た波長を持つ人間ってすぐ仲良くなりません?
バイトのノウハウを教えてくれ、気さくな雰囲気を持ち、どこか近い感じがした綿野さんに兄を持った様な感覚と親友を持った感覚を覚えました。
そんな綿野さんは日系ブラジル人。2世でした。
12歳から家族皆で日本に移住したそうです。
育った環境からかとても陽気で明るく、澄んだキレイなブラウンの瞳に整った顔。それでいて気取ってない。
お客さんからも従業員からも好かれていました(僕たちの職場はダーツバー)
でもこの綿野さんの’陰’な部分を皆が知ることはありませんでした。
僕と綿野さんはすごく仲良くなりました。
二人とも目立ちたがり、祭り好き、酒好き、前に書いたように波長が合い仲良くなるのに時間はかかりませんでした。
二人で店が終わった3時過ぎから飲む事も度々ありました。
そんなある日、二人で僕のアパートで飲んでいると体の話になりました。
「体の特徴ですか?んー、あまりいい特徴ではありませんけど僕、色弱なんですよねー。」
そう僕が言うと綿野さんが「へー。」
「体調によって度合いも変わってきて、酷い時は白黒映画みたいに視界がなるんですよー。」
少し大袈裟だが事実。酷い時は白黒映画ほどはないが、’グレー’が強くなる感じ。まー今では毎日その視界だが。
「マジか!それはすげー!今は!?どーだ!?何色だ!?」
いきなりの綿野さんのくいつきにタジろんだが、
「今はまぁ普通ですよ。普通って言っても僕レベルの普通っすけどね。てか急になんなんですか?」
綿野さんは興奮していた。
「俺、色ってすごい魅かれるんだよ。例えば人間が青色だったら空は何色に見えるんだ?」
?酔っているのかと思った。
「俺が視てる青とお前の視てる青は違うよな?」
「あーまぁーそーですねー。」
「お前の色を俺は視れない、お前は俺の色を視れない。」
「いったい何ですか?もー飲みましょーよ」笑って僕が答える。
「でもそれってどっちが正しい色なんだろーな?」
「本当は病気とされているお前の目が正しくて、俺達普通とされている奴がおかしんじゃないのが?」
ここから少し鳥肌が立つ。
「だいたい日本人の言う’肌色’って何だ?お前の色が’肌’なら俺は何色だ?」
「俺は肌じゃないのか?でもお前の’視てる’肌は他の皆とは違うんだろ?」
「じゃあ黒人は!?白人はなんだ!?」
「いや、この場合はお前’も’視てるか。。」
興奮している。
完全に瞳孔が開いている。大きい目をギョロギョロとさせている。
ブツブツ言っている。支離滅裂だと思った。
怖い。
綿野さんが怖い。
綿野さんの目が怖い。
綿野さんの目の色が怖い。
自分と違うブラウンの目がギョロギョロと動く。
怖い。
視界が悪くなる。
こんなにはっきり色が変わる瞬間を体感するのは初めてだ。
黄色と緑は緑。
水色も紺色も存在しない。青
全体的にグレーになっていく。
視界が悪いのをこんなに恐れたのは初めてだった。
「今何色だ?」
唐突に綿野さんが質問する。
「何がですか?」冷や汗をバレまいと下向き加減でそれだけなんとか答える。
「俺の瞳」
僕は涙が出た。
綿野さんの大きい瞳が見開き、瞳孔の開いた目からじーーっと視られる。
ただじーっと。
少し間を置き僕が答える。
「ブラウンです。」
「アーーーーーーーーっはっはっはっはははははは。」
いつもの陽気な綿野さんに戻る。
しかしこれほど人の笑顔を怖く思った日はなかった。
しばらくして聞いた。
「色を聞いた時、僕の視界が変わった事わかったんですか?」
「おう!」
やはりなと思った。今でもたまに信じれないが、綿野さんは不思議な力がある。特殊とか霊能的とはちょっと違う。なにか原始的。野蛮。破滅的。左脳がないような人だった。
「なんでわかったんですか?」
「お前の色が変わった。」
笑いながら冗談風に言うが、マジなんだと思った。
「ちなみにあれ嘘だろ?」
「何がですか?」
「俺の瞳の色」
「・・・何でそー思うんすか?」
「直感。」
綿野さんは直感で競馬をしたらいいのにと思った。
そしてなんだか笑えた。
「お前の色を俺は視れない、お前は俺の色を視れない。」
そう言った綿野さんだが、嘘と見破った彼には僕の視た’色’を視れたのか。またそれは何色か。
今となっては気になる所です。
引用元:http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1280254841/
コメント
コメント一覧
比喩的に眼の色が変わったかのように興奮する人がいるな
経験上、B地区の人や在日半島人で見かけた
今回の話は在日ブラジル人という
排他的な境遇の者には人知れずなにか共通項があるのだろうか
人種差別的な話かと思ったら違ってたか
クオリアのお話でしたか
バカだよね。
例えば同じ赤い花を見ていたとして、脳の中で認識している赤色はAさんとBさんで違っていてもおかしくないはずだ。もしかするとAさんが赤と感じている色はBさんにとっての青色なのかもしれないし、それを確かめる術がない…みたいな感じ。
おれもわかるようなわからないような
それぞれの見ている色は同じように見えているかなんて古典的な話
誰もいない山奥でピアノが鳴った時に音がしたといえるか、みたいな
たしか何人かわ忘れた赤と青が脳の配列的に?逆転してる人いるみたいだよね。赤と青は対局だから逆転してもただ反転してるだけで問題が起きないしその人のクオリアも共有できるものじゃないから気づくようなことじゃないらしい。
唯一共有できるのは灰色とか紫とかだろうかね?
日系ブラジル人2世と書くなら日系×日系か日系×現地人のハーフを想像させるけど
目が大きいならハーフかな?そんなに分かるほど茶色の瞳なの?
茶色の目がキーならどこの国とのハーフか書いた方が分かりやすいよ
不自然な点が目立つ書き方で詰めが甘過ぎる、と作者に言いたい
攻殻機動隊(原作)でも人工現実感(VR)は五感を介するものに過ぎない的に↓の欄外で言われてたが、没入型VRって括りで保証されるのは脳に入る電気信号レベルまでだからまだ足りない。
クオリアの概念は共感覚とか哲学的ゾンビのレイヤより深くまで根を張っている。
記憶や体験自体を共有できるレベルの電脳技術が生まれればクオリアも寄せることは可能だろうが、そもそも「前と今では同じ体験でも感覚は違う」ような事が有るから標準化出来るものでもないだろう。
経験による補正は障害の影響を打ち消す効果を持つので、物理刺激が入れ違っていても経験により形成されたクオリアが結果的に一般的な内容に近づくこともあるだろうしね・・・
| 電脳空間、サイバースペースはよく光きらめく三次元立体グラフみたいに描かれていて
| 表現としては非常によく判るが、おそらくそれはもっと概念的なものであって視覚や
| 聴覚とは全く違う独自の感覚であると思う。もちろん視聴覚を介してもよいわけだが、
| その変換は遠回りであまりイミのないものだろう。というのは電脳界自体に姿や音が
| ない筈だからである。まあまだ現実に存在しない(人工現実感は五感を介するもので
| 電脳ではない)のでとやかく言うイミもないが…想像の楽しさは十分にある。
| ―― 攻殻機動隊1巻、人形遣いに潜るときの欄外注釈
クオリアは電脳空間よりもさらに概念的抽象的なレイヤに有るだろう。
綿野さんが怖い。
綿野さんの目が怖い。
綿野さんの目の色が怖い。
自分と違うブラウンの目がギョロギョロと動く。
ここが最高に厨房クサい。
面白かった!
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