狂気

10/03/19

 流れ切っちゃうけど、ちょっとさっきあった話。 


 私は工事の施工管理の仕事をしているのですが、今日は現場が無くて 

現場代理人もお休み。事務所には私一人きりなのです。 

 ちなみに営繕現場で、既に出来上がったビルの中に事務所があります。 


 現場が無くても事務仕事はある訳で、図面整理とか材料の手配とかを 

やっていたんですよ。で、ある材料の個数を数えて終わった後。 

「あ、倉庫にあったっけ? こないだ大量に取ったよな?」 

 今は決算期なので、材料は多めに取っているのだけれども、それでも 

足りなくなる場合もある。年度始めは予算が無いから、材料を余らせて 

おかないと、痛い目に遭う。 


 仕方なく、私は倉庫に向かった。ビルに倉庫なんてあるのか? と思う 

人も居るだろうが、4階とか9階とかテナントが入りたがらないような階数 

の所には機械室や電気室があって、そこに倉庫があるのだ。 

 ここの場合は4階。厭だな~と思いながら向かった。 

 機械室は延々と機械が動く音がして、まるで人の呻き声みたいに聞こえて 

かなり気味が悪いからだ。あと、カビ臭いし。 


 4階の機械室へ。倉庫と言っても部屋がある訳ではなく、空調機の影に 

段ボール箱が山積みになっていて、防炎シートが掛けられているだけ。 

 白く分厚いビニールみたいな素材のシートを剥がした。ごく普通に 

段ボール箱があった。 

 望む材料が入っている箱は、どうやら下の方にあるらしい。 

 仕方なく、私は段ボール箱を一つずつ下ろしていった。 


 ややあって、私は材料を無事に見つけた。これなら充分だろう。 

必要な個数を取り出すと、元通りに段ボール箱を積み上げた。 

 そして機械室を後にしようと、私は防炎シートを再び掛けた。 


 その時。 


 シートで見えなくなる一瞬前に、積み上がった段ボール箱の上に人形が 

置いてあるのが見えた。私の目線と同じ高さまで積んだ箱の上に座っていた。 

 金髪のフランス人形だろうか? 何故か片目だけ抉れた古ぼけた人形だ。 

それがこちらをじーっと見ていた。 


 …そしてシートが掛けられた。空気をはらんだせいで少し膨れたシートを 

少し叩くと空気が抜けて、段ボール箱の山の上が平らに凹んだ。 

 そこには、人形があるべきスペースは絶対に無かった。 


 もちろん確かめる勇気なんぞ、ある訳が無い。 

 ビビりながら慌てて機械室を出て、事務所に戻ってこれを書いている。 

 目の錯覚だろうか。灰色のコンクリートで囲まれた、殺風景な機械室に 

色鮮やかな人形を、幻覚を見たのだろうか。 

 よく、分からない。 


 怖くて仕方ないんで書きました。憑いてきてたらホラーだよマジ。 

つか、明日も材料を取りに行かなきゃいけないのに……。 



引用元:http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/occult/1268056627/