炎上

09/06/29
中学の修学旅行で、京都に行った。 
女子の部屋は恋愛話で盛り上がり、寝たのは深夜2時半頃だった。 
自分は枕が変わるとなかなか寝付けないタイプで、3時過ぎまで「眠いのに眠れない」状態だった。 
やっとウトウトし始めた時、隣に寝ていた子がモゾモゾと動き出した。 
「…、大丈夫…、…違うけど…」 
ごにょごにょと寝言まで言い出した。あ~、また眠れなくなっちゃう!と耳を塞ごうとした瞬間 

「6時半ですね。はい、わかりました。気をつけます」 

と、彼女がはっきりと言った。 
寝言なのに、冷静でかしこまったような口調に意味もなく鳥肌が立った。 

翌朝、6時に起床した私達は眠い目をこすりながら布団を畳んだり、着替えたりしていた。 
今日の予定などを楽しくおしゃべりしていると、突然外から「ボンッ!!」と謎の爆音。 
びっくりして部屋のカーテンを開けると、ホテルの前の大通りで車が炎上していた。 
当然、私たちはパニックになり、教師の元へ走って行った。聞こえてくるサイレン、ホテルのアナウンス。 
とりあえず落ち着こうと、友達の手を握る。昨夜寝言を言っていたあの子の手だ。 

「…6時半、ぴったり。」 

彼女はそう言ったあと、驚いている私を見て苦笑いした。 
15年経った今でも友達だが、あの時の事を聞いてもただ微笑むばかりで何も答えてはくれない。


引用元:https://anchorage.5ch.net/test/read.cgi/occult/1245407426/