猫

11/09/11
ある朝、頬をなでられる感触で目覚めた。

おそらく飼い猫のチョビだろう。肉球でピタピタと俺の頬をなでている。だが俺は眠い。まだまだまどろんでいたく、無視した。

ハッと気がつくと、起床の時刻をやや過ぎていた。目覚まし時計をかけわすれていた。その日は本命の入社試験日だった。

危うく遅刻するところだったが、なんとか間に合い、無事内定をもらい、今俺は希望通りその会社で働いている。

あのときチョビのおかげで遅刻せずにすんだ。

しかし、チョビは三年前に他界していた。独り暮らしの俺は動物は飼っていない。

だがあの朝、俺の頬を撫でていたのは、生前、寝ている俺に遊んでくれとせがむチョビのそれだった。


引用元:https://toki.5ch.net/test/read.cgi/occult/1315372360