タクシー

486:11/09/14
数年前ある地方の営業所に出張したときの話。

終業後飲みに連れていってもらい、終電の車内で寝過ごしてしまった。宿まで二駅だし、タクシーで帰ることにしたがなかなかつかまらない。

しばらく歩いていると、空車のタクシーがこちらに走ってくるのが見えた。

待ってましたとタクシーを停めて乗り込んで気がついた。後部座席の奥にすでに女が座っている。

乗り込むまではまったく気がつかなかった。相乗りか?田舎ではそういうこともあるのかな?と自分なりに納得した。

運転手に聞かれるまま目的地を告げ、タクシーは走り出した。

横目でチラリと女を見ると、かなりの美人であることに気がついた。しかしなぜかニタニタと薄笑いを浮かべており、気味が悪かった。

運転手は多弁な男であり、いろいろと話題をふられた。俺も嫌いではないのでそれにのってとりとめもない会話をした。

しかし、運転手は女に話をふることはなかった。

女はやけにタバコ臭かった。車内が、ではなく明らかに女がタバコ臭かった。

若い女にしては珍しく、カバンなどを持っている様子がなく、手ぶらのようだった。

十五分ほどでホテルに着いたが、女はなにも声を発することなく、俺の方を一度も見ることなく、終始歯茎を見せながらニタニタとしていた。

降りたあと、閉じたドア越しに車内を見て驚いた。そこに座っていたはずの女がいなかった。

タクシーはしばらく進み、Uターンして道を引き返していった。

標示はまた空車だった。



493:11/09/14(水)07:16:04.52ID:TqeqRGVl0
>>486に女の霊が取り憑いた瞬間だな


引用元:https://toki.5ch.net/test/read.cgi/occult/1315372360