時計

08/11/08
子供の頃、イタズラ好きな何かと一緒だった。

見えなかったから何かの正体は分からなかったけど、イタズラ好きだった。

例えば、俺が誰かと並んで座ってたり歩いてたりすると、良く隣の人の肩をトントンと叩いてた。

うまいこと見てない隙を狙うので、大抵は俺が疑われた。小学校三年生辺りで慣れた。

ただ、時計が狂うのは困り物だった。

電池式・家庭用電源・アナログ・デジタル問わず、身の回りの時計は15~30分はズレた。

音楽を聴いてると、スピードが早くなったり遅くなったりした。

CD聴いてると勝手に早送りとかするんで、一回「うるさいよ」ってつぶやいたら、その瞬間に正常に戻ってちょっと笑った。

中学生になって、生きていれば一つ下の弟がいたと聞かされた。あれは弟なのかな、と思った。

ドジな所もあった。

高校生の頃には、隣の彼女の肩をいつもの様にトントン叩いたが、振り向いた彼女が見たのは、ジュースを注ぐために両手が塞がってたので彼女パニック。超パニック。

時計も相変わらず狂う。俺ちょっと涙目。

外を歩いていて、いきなり後ろから引っ張られて立ち止まったら、目の前にハトのフンが落ちた事もあった。

高校を出て上京した時は、トントンのお陰で出来た友達がいた。トントンがきっかけで彼女も出来た。ちょっと助かった。

でもまだ時計は狂う。

二十歳をいくらか過ぎた頃から、イタズラはなくなった。

時計も、もう狂わない。


引用元:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1421284802/