湖
08/02/27
ちょっと自分的に洒落にならんかった話。

俺が小学生くらいの時かなぁ、俺さ、片親で母親が出稼ぎに出ちゃってたもんだから、中学生くらいの間までずっとじいさんばあさんの家で育てられてたのよ。

じいさんばあさんの家はホントにドが付くくらいの田舎にあってさ、だから自然だけはたくさんあって、俺はよく森の中で虫取りなんかして遊んでた。(一人で)

その日も確か、昼飯を食った後、セミを取りに出かけたんだよ。

今考えると、なんだか森に入った時にいつもと空気が違うような気がしたんだよな…。でも、ほぼ毎日行ってた様な森だから、勘だけ頼りに奥まで分け入ってた。

どんだけ進んだろうな、たぶん家出てから一時間もたってなかったと思うんだけど、突然、目の前に紺碧(こんぺき)の湖が出てきたんだ。

「あれ?こんな所があったのか…」

とか思いながら湖を眺めてると、ちょうど正面の竹林になってる辺りで

「ガサガサ…ガサガサ…」

って聞こえる。

何か動物かな?って思ってたら、白い蛇が出てきた。それも尋常な大きさじゃない。たぶん目測でも5~6mは超えてたと思う。

その大蛇が「すー…」っと湖の上を這って近付いて来る。そして俺の目の前、湖の上でとぐろを巻いてじーっと俺の目を見つめてくる。

怖い。金縛りにあったみたいに目がそらせない。うるさいくらいわめいてたセミの声も聴こえなくなってる。

どれくらいそうしてただろう?最初は喰われるんじゃないかって怖くてしょうがなかったんだけど、白い蛇の目を見ていると、だんだんなんだか淋しい様な、郷愁に近い様な感情が湧いて来て。

そう思ってたら突然、その白い蛇は来た時と同じ様に、湖の上を這って、竹林の方へ行ってしまった。

たぶん、時間にして一時間もなかったと思うんだけど、気が付いたらもう空が紅く染まってた。

おかしい事に気づくとだんだん怖くなってきてさ。わーわーわめきながら森を走り抜けて家に帰った。

子供だったから、ちょっと大き目の蛇が過剰に大きく見えてたのかも知れんけどw

でも、普段は蛇の首根っこつかんで振り回してた様なガキが大きめな蛇を見たくらいで怖がるかな…?

たぶんそれからだったと思う、霊感ゼロだった俺が色んな物を見る様になったのは。

あぁ、それから後日、湖のあった辺りに行ってみたんだけど、湖なんてなくてボロッちぃ祠?みたいなんがあった。

まぁ、俺にはとんでもなく怖かったんだよ。

長文&乱文スマソ、と読んでくれた人は感謝。


引用元:https://hobby10.5ch.net/test/read.cgi/occult/1203508109/