ファンタジー
06/04/30
小2の頃、仲の良かったタケシと一緒に、虫取りに学校の裏山へ行った。

その山は俺達の遊び場で、隅から隅まで知っている。まぁ、山ってより、中規模の雑木林みたいな感じ。

突然タケシが、

「赤い蝶がいた!」

って言って走り出した。俺もすぐにその後を追う。夢中で走って、息が切れた頃にタケシが立ち止まった。

「タケちゃん。どうした?逃げられちゃった?」

「ああ、逃げられた。すごいデカイ蝶だったぜ!」

その後も赤い蝶を探して歩いたが、とうとう見つからなかった。日も暮れ始め、そろそろ帰ろうかということになり、帰り道を歩き始めた。

その山では『夕日に向かって歩く』という掟がある。夕日向かって歩けば道路に出られるからだ。

もし、迷子になっても、夕日に向かって歩けば絶対に道路に出るという地形になっていた。



482:06/04/30(日)21:45:30ID:o2Jchg3X0
それドラえもんの何話だっけ?



483:つづき:2006/04/30(日)21:53:13ID:1bS51n6Q0
しかし、その時の俺達にはそんな掟は不要だった。

この山は知りつくしている。だから、迷子になって夕日を頼りにするなんてことありえない。

俺達はゲームの話をしながら歩いていた。

「あれ?なにこれ?」

どういう訳か、通行止めの標識が立っている。道路なんてない山の中にだ。その時は道路標識がどういう物か知らない。今まではこんな物は絶対になかった。

「なんだろ?道間違ったかな?」

「そんなわけないよ」

「でも、こんな道知らないぜ」

「…。確かに見たことないね。迷子?」

「ちょっと、戻ってみよう」

危機感のかけらもなく、後戻りしてみる。しかし、戻れど戻れど知らない風景。こんなことはありえない。

「え~!ここどこ?」

タケシが泣きそうになってた。俺もこんな所は来た事がない。とりあえず、夕日の方向に歩き始めた。それがここの掟だ。だんだんと日が暮れてきた。

夕日に向かって歩くと、すぐに道路に出た。

そのままタケシと別れて、俺の家まであと500mくらいの場所で、後ろからタケシがものすごい勢いで走ってきた。

話を聞くと、タケシの家で葬式が行われているらしい。驚いて、家に帰れず俺を追いかけて来たと言う。タケシにせがまれて俺も一緒にタケシの家に行った。

本当に葬式が行われていた。

亡くなったのはタケシのお兄さんだった。しかし、タケシの家の前には誰もいない。鍵もかかっていて、家に入れない。

泣きじゃくるタケシを連れて、とりあえず俺の家に連れてきた。

「ただいまぁ」

と家のドアを開けるなりオヤジが飛んできた。キョトンとしている俺を見るなり、平手打ちが飛んできた。

そのまま、家の中に連れて行かれ散々に怒られた。どうやら俺とタケシは、2日間行方不明になっていたらしい。

事情を話しても信じてもらえなかった。タケシの家で葬式なんてなかったと言われた。

それから1ヶ月は外に遊びに行けなかった。ようやく謹慎処分が解けた後、タケシと山に行ったが、あの道路標識なんてなかった。



489:06/04/30(日)22:38:45ID:T2DJYpeNO
タケシの兄さんは今どうなの?



490:06/04/30(日)22:47:22ID:1bS51n6Q0
タケシのお兄さんは、今でも元気だと思います。確か、東京の大学に行って、横浜で就職したと聞きました。

タケシも一人暮らししてますが、結構近所なんでたまに飲みに行きます。そうすると、決まってこの話で盛り上がります。


引用元:https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1139837917/