不気味
07/03/11
俺のばあちゃんの家はかなりの田舎にある。というか、島。家から港まで車で6時間、そこから船で2時間かけないと行けない。

それでも、小学生のときとかは楽しみだった。今ではただ遠いとしか感じなくなってしまったけど、夏と冬、1年に2回は行く。

向こうには、2つ年上のイトコの姉ちゃんがいて、よく2人で遊んでた。姉ちゃんは泥汚れとか全然気にせずに、森の中で遊んだり川に入ったりと、俺の面倒を見てくれていた。

大体、向こうには一週間ぐらいいた。

そんで、なぜかは忘れたけど、その日は一人で遊んでた。今でも何でその日だけ一人だったのかは覚えていない。

まあいろいろ一人で何かして遊んでたと思う。やがて夕方になり、日も落ちかけてくると周りはとても暗くなる。

そろそろ遊ぶのをやめて帰ろうと思ったら、小橋の近くにある電灯の下に姉ちゃんがいた。後ろを向いて立ってて、電灯にもたれ掛かる様な感じで。

姉ちゃん迎えに来てくれたんだ~、と思って近づくと、そいつが振り向いた。そいつのあまりの不気味さに足が一瞬で止まった。

なんつーか…目、鼻、口は福笑いみたいな、とってつけたような薄いパーツで、皮膚が見たこともないぐらいツルツルだった。

姉ちゃんと似ていたのは髪形だけで、あとは化け物以外の何でもなかった。

一番キモかったのは、唇。

ぎゅっと固く結ばれた唇が、ノイズみたいに不規則に折れ曲がりながら動いていた。

「MWMW」←分かりにくいけどこんな感じ。

そこからは考えよりも体が先に動いて、猛ダッシュ。死に物狂いでばあちゃんの家まで走った。

家に着くと姉ちゃんがのんきにスイカ食ってた。今さっきの事を話したら、

「そんなん知らんww」

「今日は隣の家の引っ越し手伝ってた」

「お前だけサボりやがってww」

みたいな事と言われてヘッドロックかけられた。

まあ、そんなことはそれ一回だけだったけど、今でも姉ちゃんと会ったら聞いたりする。

「あの日、本当にあの電柱の下にはいなかった?」

って。そのたびに「知らんww」って言われるけどね。

だって、忘れようにも忘れられないんだよ…あのノイズの唇が特に。


引用元:https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1173196483/