暗い
11/01/28
自分の人生の中で唯一の不思議な体験。

昔、某スーパーに勤めてた時、翌日の本部での課内会議のために書類を作成しなきゃならなくなった。

パソコンを所持してなかったので、仕事の合間に進めてはいたんだが間に合わずに、会議当日の朝に朝イチで会社に行って仕上げなきゃならんはめになった。

朝5時に、商品搬入検品係の検収口のおじさんの出社に合わせて裏の検収口から一緒に入店したんだ。

薄暗い店内を進むと、レジの向こうの方にお客様サービスセンターみたいな場所があるんだが、そこにスーツ姿のおじさんっぽい人が受付に座ってるのね。

非常口案内の明かりでぼんやりとしか見えなかったんだけど、とりあえず

「おはようございます」

ってあいさつしたんだけど、無視されたみたいで無反応だった。

自分はこの店に着任してまだ一カ月くらいだったので、食品フロアの人以外の顔と名前が一致しなくてその人が誰かわかんなくて、無愛想な人だな、ぐらいにしか思わなかった。

何とか一時間くらいで書類も完成して、会議用の名札を自分のロッカーに取りに5階まで階段を上がったんだ。

働いてる比率では男性が凄く少ないので、男性更衣室はほとんど物置部屋レベルの小部屋。

階段を上ってる時に上を見上げたら、さっきのスーツの男性が廊下を曲がって更衣室方向に消えた。

こんな早朝に食品以外の人が出社してるなんて珍しいなあ、って思ったんだが、その後を追って更衣室に入ると電気は点いてるんだけど誰も更衣室にいない。

狭い部屋なので隠れる場所なんか皆無だし、当然この5階は男性更衣室以外に部屋なんかない。

何でだろ?なんて不思議に思いながら名札をポケットに入れて更衣室を出た。

部屋を出た時に自分は電気を消したのに、ドアを閉めたらなぜか更衣室の電気が再度点いた。

その時に初めて心霊的なものなのか?って気付いて、ビビって点灯した室内を確認せずにダッシュで一階まで降りた。

一階の検収口で荷受けが一段落した検収のおじさんと、出社してきた警備員さんが談笑してたので、もしかしたら泥棒の可能性もあるので、あわてて今起こった事を説明した。

すると2人は顔を見合わせて困ったような感じで、大丈夫だから気にしなくていいよって言われたんだ。

課内会議が隣県であるため時間もなく、自分も深くは聞かず会議へと向かった。

会議中も凄い先ほどの出来事が気になって、自分の前任の人がいたので休憩中に聞いてみても

「知らないなあ」

って反応だった。

夕方に会議が終わって旅費申請用紙だけ提出してから帰宅しようと考えて店舗に寄った。

事務所で用紙に記入していると、普段はめったに食品フロアの人間に声をかけない店長に応接室に呼ばれた。

着任一カ月も過ぎて、そろそろ店長からの細かな業績確認をされるのかなと思いながら部屋に入った。

まさに想像していた通り業績の確認や今後の打ち合わせだった。それが30分ほどで済んで、店長がタバコを吸いながら雑談を始めた。

会話が詰まった頃に店長が一言、

「朝の事なんやけどなあ…。朝に男の人店内で見かけたらしいな」

「はい、何か消えちゃったみたいにいなくなったんですけど…」

「実はな、これは絶対に口外しないでおいてほしいんだが…」

どうやら自分の着任する一年程前にお客様受付担当の男性主任が帰宅途中に交通事故で亡くなっていたらしい。

お葬式が終わってしばらくしてから、なぜか早朝の店内でスーツの男性を見かける事象が検収担当の人達の間で続出。

検収の人や警備の人は亡くなった主任の顔は当然知っており、間違いなくその主任だとの事。

受付や事務所、更衣室でその男性と早朝にすれ違う事があるとの事だった。

ただその主任らしき男性はこちらに対して何の反応をするでもなく、ただ店内をうろついては消えるだけで無害との事。

店で働いている多くはパートのおばちゃん達なので、怖がらせたり、変な噂話が広がると困るのでけっして口外するなと言われた。

「自分が亡くなった事がまだわかってないんやろうかなあ。まじめな主任だったからな」

店長もどう対処していいのか困っていた。

結局この事を知ってるのは店長、副店長、検収、警備、野菜売り場の主任と自分だけ。

後日、野菜売り場の主任と飲んだ時にその事を話したんだが、ほぼ現れるのは受け付け付近なんだけど、たまにレジのそばで見る事があってビビるって笑ってたw

ただ朝6時過ぎるとめったに見ないらしいので、早朝出勤する時は6時以降にした方がいいよとアドバイスされた。

今でもこのスーパーは営業してるし客数も多い。地元でもそこそこ繁盛してる店だけに、常連客が知ったらびっくりするだろうなあ。

ちなみに俺はビビりなので、その後は早朝出勤もしてないし、夜も9時前には仕事を終えて帰宅する事にしていたので、2度目の不思議体験はありませんでした。