暗い
08/10/09
俺のばあちゃんは、ちょっと霊感が強い人で、温泉宿なんかに一緒に行っても、「ここでなにかあったな」などとすぐにわかるらしい。

そんなばあちゃんが、俺に話してくれた話。

ばあちゃんの旦那(つまり俺のじいちゃん)が、ガンで入院していた。医者からはもう余命いくばくもないと告げられていて、ばあちゃんはつきっきりで看病していた。

ある日じいちゃんが、ばあちゃんに向かって

「窓の外を黒い人がゾロゾロと通るんだが、なんとかしてくれないか?」

と言ってきた。

ばあちゃんが外を見ても、そんな人はいなかった。だいたいその病室は1階ではない。気のせいだと思い、じいちゃんをなだめて寝かせ、その日は家に帰った。

次の日、病院より電話があって、じいちゃんは息を引き取った。

その後ばあちゃんは、再婚もせずにいて、よく裏の家のおばさんとお茶飲みや旅行などしていた。毎日互いの家を行き来するほど仲が良かった。

そんな仲良しだったおばさんが、大腸がんだとわかった。転移がひどく、もう手術は出来ない状態だったそうだ。

そのおばちゃんは、主に自宅で療養していたので、ばあちゃんも毎日看病に行っていた。

もういよいよ起き上がれなくなったおばさんが、ばあちゃんに向かって、じいちゃんと同じような事を言った。

「うちの庭を、黒い服を着た人がたくさん歩いている。出て行くように言ってくれ」そんな感じだ。

そのおばさんの家の庭は、表の通りからちょっと入ったところにあるので、一般の人がウロウロするようなことはまずない。

ばあちゃんも一応確かめたのだが、やっぱりそんな人はいなかった。おばさんを寝かせて、ばあちゃんは家に帰った。

その日の夜、ばあちゃんの家の裏の戸をドンドンと誰かが叩いた。

(こんな夜に誰なんだろう…?)と思い、ばあちゃんが見に行くと、そこには裏の家のおばちゃんがいた。

しかし、おばさんの顔、腕、胸の辺りまでははっきり見えたが、肋骨辺りから下は見えない。

(ああ、**さん(おばちゃんの名前)亡くなったな…)と思ったばあちゃんは、

「**さん!早く自分の家に帰りなさい!」

と強い口調で追い返したら、おばさんの上半身だけの姿はスッと消えた。その次の日、裏の家のおばさんの訃報が届いたということだ。

どうやら、死ぬ間際の人の所には、黒い服を着た人が迎えに来るらしい。みなさんも、窓の外にそんな人が見えたら、用心してくれ。

追加なんだが、ばあちゃんの所にはよく死んだ人があいさつに来るそうだ。

それらの人たちはほぼ例外なく、夜に訪れ玄関の戸を叩いて知らせる。そして、下半身がない。また、一言もしゃべらない。