狂人
17/08/18
はじめまして、父親が亡くなったので心に留めておいた、父についてのことを投稿させていただきます。

10年以上前のことです。私が中学生のときでした。

両親は喧嘩はしないものの、お互いに毛嫌いしており子供心にそれをひしひしと感じていました。完全に関係は冷え切っている感じでした。

共働き家庭でしたので、時々母親は仕事の都合で深夜に帰ってくることがありました。

そんなときには、父親が夜ご飯を用意してくれました。父親は料理関係の仕事をしていたので、料理を作ることは得意だったんです。

ある日、母親が深夜に帰ってくると連絡があったので、先に帰宅していた父親が夕飯を作ることになりました。

料理はメンチカツ。父親がひき肉からこねて揚げ、千切りしたキャベツは添え物になりました。

余ったメンチカツ・大量に千切りされて料理に乗り切らないキャベツは冷蔵庫へ入れていました。

私はその光景を不自然に思いました。なぜなら父親は「そのときに食べる分だけ作って温かいものを提供する」事を大事にしていたからです。

でも、深夜に母が帰ってくるからそのストックかな?と思い深く考えませんでした。

食事が終わった後、私は運動部に入っていた事や、その日はテレビがつまらなかった事もあって、暇つぶしにランニングへ行きました。帰ってくると家の中が真っ暗でした。

母親はまだ帰ってきていないようでした。翌日の仕事が早い父親は早々に寝てしまったようでした。

運動した後ということもあって、ご飯を食べたばかりにも関わらず、お腹が減った私は、夕飯の残りが冷蔵庫にある事を思い出し、こっそり、部屋を真っ暗にしたまま、料理を冷蔵庫から取り出しました。

そのまま添え物のキャベツを、箸で一口。その瞬間、口の中に激痛が走りました。そのキャベツの中には、母の使っているヘアピンがキャベツに上手く隠れるようにして何本も入っていました。

そして、何故かヘアピンが口に対して縦に入ったため、口の中の上顎を貫通し、血がドバドバと出てきました。

パニックでした。

その時「このメンチカツにもなにかあるんじゃないか!?」ととっさに思い、手で掴んで割ると、メンチカツにもヘアピンが何本も入っていました。

「これはとにかく隠さなければ」となぜか思い、ヘアピン入りの料理は全て袋に包んで、生ゴミ入れの奥深くに突っ込みました。

なにもかもわけがわかりませんでした。口から血を吐きながら、電話で自力で救急車を呼びました。騒ぎを察知した父親とともに救急車に乗り、知らせを聞いた母親も飛んで帰ってきました。

幸い傷は致命的ではなかったので、すぐに退院しました。

ゴミ箱に捨てたヘアピン入り料理は、どうやらバレないまま普通にゴミに出されたようでした。

入院しているとき、帰宅後、とにかく父親、母親に怒られました。なぜああなったのかと。

当然「父親が作ったヘアピン入りの料理を食べたから」とはいえませんでした。混乱しているふりをして適当な理由を言い続けました。

ただ、母親と一緒になって私を怒鳴る父親を見てゾッとしました。

普通のふりをして、あくまで馬鹿な子供が起こした馬鹿な事故だと思わんばかりの、何も知らない母親と同じような顔をして怒鳴っていたんです。

私はそれ以来、千切りのキャベツとメンチカツが食べられなくなりました。他人が作る食べ物は細かく検分してから食べるようになりました。

この事件以降も、夫婦仲が修復されることもなく父は他界しました。

あの時の父親は一体何を考えていたのでしょうか…。母親を殺すつもりだったのでしょうか?

この事実を母親に話すつもりはありません。ただ、このまま心のなかにとどめておくのも難しいと思ったので、吐き出させていただきました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


投稿者:まきちゃねさん