11/07/31
地元の宴会で兄とその先輩から聞いた話。
決してまじめではなかった兄が高校生のころ、たまり場にしていた廃病院があった。
心霊スポットとして地元では有名だったが、兄達の何代か前の先輩らがたまり場に使い初めてからは、冷やかしの肝試し連中は寄り付かなくなっていた。
中は荒れ放題に荒れていたが、診察器具や書類などがそのまま放置されており、さながら夜逃げでもしたかのようだった。
ある夜、兄達はいつものように病院で時間をつぶしていた。
兄が1人で廊下を歩いていると、ある部屋から「どうぞ」と聞こえた。何の気なしにドアを開けると、そこは診察室のようで、机の前にネコがちょこんと座っていた。
兄が一瞬戸惑うと、
「どうぞおかけください」
とネコがしゃべったという。
なぜだかわからないが兄は、ああ、診察してもらわなきゃ、と思い丸椅子を引いてきてネコの前に座った。
ネコは色々と兄の健康状態についてたずね、兄は一つ一つに答えた。ひとしきり質問が終わると、
「あなたね、あごにできものがあるね。これ入院しなきゃだめだよ」
とネコが言った。兄は入院はちょっと、、と言葉を濁すと、ネコはいろいろと医学的な話を絡め入院するよう兄を説得した。
兄は次第に仕方ないか、という気持ちになり、わかりました、手続きをお願いします、と答えた。その時、ドアから先輩が入ってきた。
先輩目線の話によると、廊下を歩いていると、ドアの向こうから兄の声が聞こえたという。
ひとり言かと思ったが、誰かの話に相槌をうっているかのように聞こえ、不審に思いドアを開けると椅子に座り、ネコに向かって話している兄がいた。
ネコは先輩の姿を認めるとすぐに逃げてしまい、暗闇の中に消えた。兄はその瞬間我に返り、ネコがしゃべった?何していたんだ俺は?と恐ろしくなった。
結局その夜は何事もなく、夜明けと共に皆と帰った。
その後、兄はなんとなく病院に近づくのが嫌になり、この出来事を目の当たりにした先輩とともに、病院に行くのは出来るだけひかえていた。
半年後、歯痛を治しに歯医者に行った兄は驚くことを聞かされた。レントゲンに小さな影があるという。
以前撮ったレントゲンとの比較や、影の大きさからいってここ一年くらいでできたものじゃないか、とのこと。ネコの言っていたことは本当だったのか、と兄は驚愕した。
結局兄は大学病院を紹介され、10日ほど入院し、あごの腫瘍をとる手術を受けた。まだ小学生だった私はお見舞いにいったことを覚えている。
腫瘍は幸い良性のもので、その後再発等はなく、兄は元気だ。
兄は、ネコが注意するよううながしてくれてたんだなあ、と感謝し、廃病院にキャットフードなど持ち込み、お礼の気持ちを示したとか。
しかし、私は腑に落ちない。
その時、先輩がドアを開けず、ネコが強くすすめるままに兄が入院していたらどうなっていたのか、というかネコの言う入院とはなんだったのか、そう考えるとなにか得体の知れない恐怖を感じる。
コメント
コメント一覧
病院食はカリカリでおやつはちゅ~るなんだろうか
入院したらねこにされて退院とか
「・・・ハイ」
「では、噛みつきますから病院に行ってね」カプッ
……凄い!猫がいっぱいだ!!!!(ボウマン船長風
嘘(虚言)じゃなくて、糖質の妄想だねえ。
どんな病気も治る気がする
オヨヨ「せやな」
ニャンコ先生&ニャンコ先生「全くだ」
肩にできた良性の腫瘍取ったけど手術15分で3針縫って日帰りだったが‥
悪性じゃないの?‥書き間違いかな?
怖い話なはずなのになぜか癒されとる
「検温の時間ですにゃん☆」
入院したい(///∇///)
どちらも最後は逃げ出せて、めでたしめでたし。
窓から帰宅して「くるっぴ」と叫ぶ様に鳴いて、中へ滑り込んで来た。突然妙な声をたてたので、自分は何か笑ってしまったな、あの時は。
むしろかわいいじゃねーか!
めちゃかわっ!
奴らには何かが判っているんだろう
顎の手術といっても色々あり、口の中からアプローチする場合は、術後経過がシビアなケースが多いんですよ
少なくとも気道への影響がなく、自宅で経口で食事できるレベルでないと退院などさせられない
手術侵襲についての記載がないから、わからないけど10日なら経口摂取開始、食上げのプロセスを考慮するとまあ妥当じゃす
コメントする