悪夢
17/07/28
はじめて投稿するので拙い文章になるかと思いますが、宜しくお願い致します。

専門学生時代、実家を遠く離れ寮生活をしておりました。

個室だったので他人と関わる事もなく友達もできず、慣れない土地での生活、学校の課題等のストレスからどんどん人見知りに拍車がかかり、精神的な疲れが溜まってきた頃の事です。

私は悪夢を見るようになりました。悪夢は主に二種類で、一つはベッドから部屋を見渡している状況から始まります。

眠った時間は関係なく室内は薄暗くどんよりとした様子で、起き上がろうとしても身体が動きません。

そうして必死にもがいているうちに、どこからか声が聞こえてくるのです。

確かにこちらに語りかけているのだと分かるのですが、何を話しているのか聞き取りづらく、ですがとても恐ろしく、はっ、と目が覚めた時にはいつもぐっしょり汗をかいていました。

もう一つの夢はストーリー仕立てで、毎回変わるのですが基本は「夢の世界にとらわれてしまい、皆で脱出を試みる」といったものでした。

最後には皆無事に夢の世界から脱出できるのですが、最後に私が目覚めようとするとどこからか黒い人間がやってきて「お前は行かせない、お前はここに残るんだ」と妨害されるのです。

時には追い掛け回されたり、はがい締めにされたり、とにかく恐ろしい夢でした。その2つの夢は眠れば必ず見ることになりました。

ちょっとうたた寝しても、明るい時間に眠っても、必ず見るのです。毎日、毎日。それは半年も続きました。

次第に眠るのが恐ろしくなって出来るだけ睡眠時間を削ろうとするのですが、睡眠を取らずに生きていけるはずもなく、気がつくと横になっておりそのたび引きずり込まれるように悪夢の世界に誘われました。

当初、私は日々のストレスや精神的不安からそういった夢を見るのだと思っていました。

幽霊の仕業だとか、この部屋になにかあるのでは、とかそういったことはいっさい考えておりませんでした。

毎日眠るのが本当に恐ろしくてたまらなかったけれど、きっと時が解決するだろうと思っておりました。人間って追い詰められると恐ろしいという気持ちを凌ぐほどの強い怒りが湧き出るものなのですね。

ある日見た夢は、いつものストーリー仕立てでしたが今までとはハッキリとした違いがありました。

最後に目覚めようとしたところ、黒い人間が私の首を締めたのです。恐ろしく怪力でその手を引き剥がそうとしてもびくともせず、だんだん意識が遠のいていくのが分かりました。

その時、黒い手の持ち主が言いました。

「お前は目覚めない。お前は眠ったまま死ぬんだ」

私は、確かにその時、恐怖に怒りが打ち勝つのを感じました。半年も毎日毎日苦しめられてきた怒りが爆発したのだと思います。

私は普段大人しい人間ですがその時はとにかくめちゃくちゃにもがき、黒い腕をつかみ、思いつく限りの暴言を吐き叫びました。

「ふざけるな!お前のせいでこっちは寝不足だ!お前の思い通りにはいかせない、絶対死なない!」

もっとひどいことも言ったと思います。悪夢続きで十円ハゲも出来ていたので

「お前のせいでハゲたんだぞクソ野郎」

くらいは言った記憶があります。思い出すとあまりに口汚く、少し恥ずかしい気持ちになります。

そうしてやっとのことでその腕を引き剥がした瞬間ハッと目がさめました。その時、私は確かに天井に溶けるようにゆっくりと消えていく黒い腕を見ました。

しばらくぼうぜんと天井を見ておりましたが、急に恐ろしくなってあわてて部屋を飛び出しコンビニへ走りました。

精神的不安が見せた悪夢だったのかもしれませんし、天井に消えた腕も恐怖が見せた幻覚かもしれません。でも、もしかしたら…。

あの時、腕を引き剥がすことが出来なかったら…?そう思うと今でもほんの少し背筋が寒くなります。

皆さんも悪夢を見た時は気をつけてください。もし恐ろしい夢に苦しめられたら、怒りが悪夢に打ち勝つのだと覚えておいて頂けると幸いです。


投稿者:名無しさん