倉庫
09/10/12
ある工業団地に大手総合スーパーの巨大倉庫で、トラックから荷物を積み下ろしをする仕事をしていたときのことです。

真夏の昼のことでした。その日はお盆の時期なこともあって、いつもより社員もバイト君もやってくるトラックも少なく、倉庫内はいつもよりシーンとしていました。

トラックから大きなダンボールの荷物を下ろし、番号札を付けて倉庫の指定された位置までカートに乗せて手押しで運んでいくのです。

倉庫は積み下ろし口から奥行きが100mもあり、網の目のように荷置き場と通路が張り巡らされているので、不慣れな私は渡されていた配置図を見ながら指定の場所に置きに行っていました。

その日の昼は朝見かけた社員2名とバイト君は私のほかに2名の合計5名での作業でした。

一番奥の置き場までカートを押していったとき、通路の一番遠くを右から左に人が歩いていきました。しかし積み下ろしの作業員は全員積み下ろし口にいるのです。

おかしいと思いながら進んでいくと、通路の十字路にさしかかったところで、今度は左の視界に人が奥へ進んでいくのが見えました。

パッとそちらを見ると曲がり角を奥へ曲がっていく後姿でした。私はその服装がこの倉庫内の制服ではないとわかったので、社員の1人にそれを告げました。

するとその社員は私の顔を一べつしてこういいました。

「ああ、見えたのか」

他の誰も奥にいる人を探して捕まえようなどと思ってもいませんでした。

泥棒かもしれないのになぜ見に行かないのか不思議に思っていると、そんなに気にすることはないと言いました。

私は気にせず倉庫の奥まで荷物を運んでいたのですが、やはり時おり通路をウロウロする人影が視界に入るのです。

休憩時間になり、私は社員達に倉庫の最も奥まで連れて行かれました。するとそこに御札が貼られている場所がありました。

社員は話してくれました。

むかし倉庫の荷物が崩れ落ちる事故があって、下敷きになった女性社員が死んでしまったのだそうです。

以後数年たってもその女性の霊が倉庫内をウロウロしている姿が、見える人には見えるとのことでした。