妖精
07/11/10
妖精を見た…気がする。

大学行くときに電車を待っていて、ホームの椅子に座っていたら、エクササイズみたいな動きをする小学生くらいの子供が、突然俺の前にあらわれた。

いつ視界に入ったのかわからないが、チョコマカと手やら足やら一生懸命動かしてる。

電車と人が接触しないようにするための黄色い線があって、その子供は明らかに線を越えてホームのはしギリギリのラインでテンヤワンヤしていた。

駅員さんも近くにいたけど注意する様子もなく、とうとう電車が来てしまった。

子供は夢中で踊って(?)いた。子供の手が電車に接触した。ボーっと見る事しか出来なかった。そして、飲んでいたコーヒーを吹いた。

電車の外装から手が抜け出してきたり、めり込んだりしてたからだ。いわゆる、人間が立体映像に指で触れようとする、これの逆バージョン。

ここで初めてその子供は人間ではないという考えが生まれた。これが妖精さんなんだろうか?

その次の電車は俺が乗らないといけない電車なので、ちょっと興味本位で子供の近くに近づいてみた。

頭の中で

「どんな子だろう」

と、思いながらその子を見ると、頭の中に子供の声で

『どんな子だろう』

って響いてきた。

「えっ?」

と思った次の瞬間、また頭の中で

『えっ!』

と響いた。「エコー?」そう思ったが今度は何も返ってこない。驚きはしたが取り乱すほどでもなかったので、もう少し詳しく見てることにした。

「たまたま返ってこなかったのか?」

思う。

『たまたま返ってこなかったのか!』

しっかり響いた。また「エコー?」思う。…………返ってこない。

「返せない[音]があるんだな」

と思った。

『返せない[音]があるんだな』

少し悲しそうな声が響いた。どこかの国のおとぎ話(?)に登場するエコーの事を思い出した。

「俺のイメージではもっと小さいんだけどな」

『俺のイメージではもっと小さいんだけどな!』

「少し怒った?」

『少し怒った!』

ちょっと楽しくなってきた。けど電車がもう見えている。俺は少し淋しい気がしたが子供に別れをつげる、言葉で。後ろに中年のおばちゃんが数人並んでいたが、そんなの無視だ。

「もう行かないといけないんだ。今度こそ幸せになれるといいね。それじゃgood-bye」

電車が来た。子供がどんな顔をしているかはわからない。電車に乗った。少し恥ずかしそうな声で『ありがとう』と言われた気がする。

電車がホームを出る。子供は改札口の方へと消えていった。