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04/09/26
大学一年の頃の話です。

お金がなかった私は、大学の寮の抽選にもれ、“どう考えても安すぎ”なボロアパートを借りて住んでいました。

引越しの時に「お札あったりして」と探したのですがそんなものもなく、また、自分にも霊感など全くなかったので、まぁいいか、と。

部屋数も窓も少なかったのですが、比較的日当たりはよかったので、私は勉強机を北向きの部屋・北側の窓の側に置きました。

窓に向かって座る形になり、けっこう明るい場所でした。

ある日私は、うっかりレポートの提出日を忘れていて、徹夜で仕上げなければならなくなってしまいました。初夏の暑い夜、クーラーなんてない部屋で、窓を開け、カーテンをしてレポートを書くことに。

夜中の2時をまわった頃、背後から小さな音がしました。「カサッ」という感じの、ごく小さな音です。

何だろう?と振り向きましたが、何もありません。部屋の入り口辺りから聞こえた気がしたのに…。

聞き間違いだろうと、またレポートに戻ると、しばらくして、また同じような音がしました。そしてまた振り向いても何もない。

カレンダー(壁にかけるタイプの)が風で動いたかなぁ、それほど風なんか吹いてないけど。そう思い机に向かうと、また音がします。そのときハッとしました。

…音が近くなってる…

確かに部屋の入り口辺りからしたと思った音は、少しずつ近くなっている気がしたのです。急に怖くなりました。

時間は、夜中の3時過ぎになっていたと思います。どうしよう…、仕上がっていないレポートをそのままに寝るわけにもいきません。

独りで夜中起きているため、疲れも加わって怖くなってるだけだ、そう言い聞かせたとき、静かな部屋の中にまた音が響きました。

もうだめだ、寝よう。怖すぎる。怖くてたまらなくなり、寝ることにしました。

当時、明け方まだ冷え込む季節だったので、窓を半分くらい閉めて寝ることにしていました。だからその時も、全開の窓を少し閉めようと、カーテンを少し開けたんです。

カーテンを開けた私が見たのは。窓ガラスに映った自分と、私の後ろに逆さまに天井からぶらさがった女性。長い髪が床をこすっていました。

心臓が凍りつくかと思いました。とっさに振り返ってしまったのですが、そこには逆さまの女性なんていません。

けれどもう窓ガラスを見る勇気などなく、そのまま家を飛び出し、友達の家に泊めてもらいました。深夜だったためかなり迷惑がられましたが…

朝戻ってみても、もちろん誰もいませんでした。

ただそれ以来、ショートボブの私の部屋で、50cmを越える髪の毛を何度か見つけ、引っ越してしまいました。何だったのか、いまだにわかりません。

ただ、アパートの隣の10階建てマンションは、自殺が多かったそうです。

私にとっては、人生で一番怖い体験です。