【怖い話】作業員風の男

31
本当にあった怖い名無しsage2012/09/27(木)22:51:07.76ID:sGX+vDtx0
東海道線を熱海から函南
(熱海→函南→三島)の間に丹那トンネルと言う入口から出口まで5-10分位かかる長いトンネルがあります。

伊豆半島に点在する町は田舎である為、大きなデパートはありません。
デパートに買い物に行く為には沼津、又は、小田原まで行かなければなりません。

お金のある人たちは、東京や横浜まで行っているようですが、私は、沼津のデパートでの買い物が主になります。
熱海から普通列車に乗って沼津へと向かうのですが、途中、丹那トンネルを抜けなければなりません。

その時は、4人掛けの席に1人で乗っていました。
車両には人がほとんどいなくて自分のボックスの後ろ側に労務者風も男の人が顔を下に向けて寝ていました。

トンネルに入ると、騒音とトンネルの中の独特な臭い(カビ臭さ?)が車内に充満します。
窓側の席に座り、窓側に寄り添ってトンネルの外をぼんやりと眺めていました。

トンネルの中は、待避所と言いますかドーム型の奥行き50cm位
(トンネル内を歩いたことがないので正確にはわからないが)
ところが数メートルの間隔で数十カ所作られています。
その近くには電灯も点いているので暗いトンネル内ですが中も見えます。


32本当にあった怖い名無しsage2012/09/27(木)22:51:22.48ID:sGX+vDtx0
トンネルの半ばに差しかかった時でしょうか、一つのドームにヘルメットをかぶった作業員風の男の人がいました。

ヘルメットには懐中電灯がついていて、
”つるはし”を持っていました。

電車はかなりのスピードで走っていたのですが、何故その男の人の顔がハッキリ見えていたのかはあまり気にしませんでした。
目と目も合ってしまいました。

「トンネル工事の人だ。」

と思いました。

更に進んで何個か目のドームにも男の人がいました。
この時は、驚きました。
さっきの男の人です。

この時も、顔はハッキリ見えていました。
また、目が合いました。
電車は走っているので、顔が前から後ろに向く様になりながらも目と目が合っていました。

お互い意識し合う様に、ドーム内の男の人もこちらを目で追っているのがハッキリと分かりました。


33本当にあった怖い名無しsage2012/09/27(木)22:51:42.50ID:sGX+vDtx0

「何かおかしい。」

と思いました。
しばらく行って同じ事がまた起きました。
本当に怖くなって、窓のブラインドを降ろしトンネル内を見ないようにしました。

そろそろ、トンネルも出口に近づいてきて

「早く、明るいところにでたいな」

と思っていました。
そのうち、車内のアナウンスで次の停車駅の到着の事を放送しました。出口はもうすぐです。

すると、後ろのボックスの労務者風の男の人が立ち上がり私のボックスの前を通り過ぎました。

何気なく通路を横切るその男の人を見ました。その男の人は、ヘルメットをかぶり、”つるはし”を持っています。
そうです。さっきトンネル内にいた男の人だったのです。
その男の人は、歩きながら笑みを浮かべてこちらを向き

「どう。怖い。」

と言って歩いて行きました。

”ゾクッ”

全身に鳥肌が立ち男の人を見ないように、思わず下を向いてしまいました。
そのまま見ていたら何か大変な事になると思ったからです。
その直後、電車はトンネルを抜けました。

車内は、昼間の明るさが蘇ったので”ホッ”とし、恐る恐る男の人の歩いていった方を見ましたが、そこには誰もいませんでした。

昼間の出来事なので、トンネルを出た時点でほとんど怖さが無くなっていました。
その後、何事もなかったように買い物を済ませました。

帰る時には夕方になっていたし”丹那トンネル”を通って帰りたくなかったので、その日は新幹線で熱海まで帰りました。


34本当にあった怖い名無しsage2012/09/27(木)22:51:59.79ID:sGX+vDtx0
後から聞いた話ですが、丹那トンネルは、大正7年3月に着工され昭和9年12月に開通した延長7841メートルのトンネルで、この間延べ250万人が工事にたずさわり、昼夜兼行の作業で67人の犠牲者を出し、特に大正14年4月に東口坑口(熱海側)より3000メートル奥で大崩壊があり16人が殉職したそうです。

現在行う様な工事と違って、想像を絶する難工事だったのでしょう。

この男の人が出たのもトンネルの半ばの所だったので、この大崩壊で殉職された16人の中の1人だったのでしょうか?

この体験までは気が付きませんでしたが、熱海側のトンネル入り口の上には”丹那トンネルの殉職碑”があり、その近くには、”丹那神社”がありました。

あの男の人は、その言動から自分が幽霊と言うことを自覚しているようだったので何か言いたいことがあったのかもしれません。
それか、ただのイタズラのつもりだったのでしょうか。

とても不思議な体験でした。






転載元:死ぬ程洒落にならない話を集めてみない?