天使
13/06/12
よく怖い話で「昨日までいた彼女の存在がそっくり消えた」とか「昔の友達に関しての記憶が、自分以外ない」 とかあるけど、それと同じ現象を、私も体験しました。糖質だと思ってくれるなら思ってもらって構わないです。

2年前出産しました。三人目の子なんだけど、二人目を産んだ時に「頚管裂傷(けいかんれっしょう)」って症状(赤ちゃんの身体で膣が裂ける)に見舞われて、その時も裂けたから、自分は赤ちゃんを確認した後すぐ、手術を受けました。

頚管裂傷って普通は数ミリから数センチで、指で押さえて止血(膣も粘膜だから鼻血と同じ処置)なんだけど、自分は二人目の時、子宮口から膣口までさくっと裂けて縫ってたから、今回も大事を取って縫ってもらったんです。

その後一日たってから赤ちゃんと対面。赤ちゃんは久し振り(6年ぶり)だったからすごく嬉しくてかわいくて、めちゃめちゃ可愛がりました。上の子2人も可愛がってて、すっごい大事にしてました。

そんで生まれて1年近くたった冬に、私はインフルエンザになったんだけど、子ども達にうつるといけないから、ひとり隔離されて三日くらい寝てました。

起きたら赤ちゃんがいない。おかしいなぁ、と思って家族に聞いたら、赤ちゃんなんかいない、って。

だってインフルエンザになる前までちゃんと一緒に生活してて、みんなも可愛がってたじゃん?熱があるからって医者に行く前お母さんに、赤ちゃんよろしくって言ったじゃん?

って、こっちはパニックなんだけど、熱で変な夢みたんだろーって。

赤ちゃんを寝かせてたはずのベビーベッドも、押し入れの奥に仕舞ってあるし、赤ちゃんの服とかおむつとかおもちゃとか、いっさいない。

私がおかしくなったのか、熱出してる間になんかあったのか、パニックで家族に何度も赤ちゃんについて聞いたら、だんだん気味悪がられて、そのうちダンナが教えてくれました。

赤ちゃんは生まれた時産声が上がらなくて、調べたら肺に疾患があって、すぐ人工呼吸器つけたけど、自分が手術してもらって麻酔で寝てる間に、亡くなっていました。

先生や助産師さん、メンタル担当の看護師さんが説明をして、私も納得してたし、お葬式もしただろ、って。

私は赤ちゃんを抱いてチャイルドシートに乗せたのも覚えてるし、毎日赤ちゃんと楽しく暮らしてた記憶があるんです。

でも、赤ちゃんが生まれた後のアルバムを見ても、赤ちゃんは写ってないんです。赤ちゃんはやっぱり、私と一緒に退院はしてなかったんですね。今思うと。

だんだん落ち着いてくると、赤ちゃんの葬式のことも思い出したし、赤ちゃんが死んだって聞かされて、悲しくてパニックになった時の気持ちも思い出してきました。

亡くなった赤ちゃんに対して、自分がその事実を受け入れてなかったことを、申し訳なく思うようになりました。

家族はインフルエンザの熱(40度近くあった)でうなされて、幻覚みたいなものを見たんじゃないか、って言ってくれたけど、赤ちゃんが生まれる前に買った育児日記に、赤ちゃんとの毎日が、書いてあるんですよね……。

体重や身長は書いてないし、三ヶ月検診とか半年検診とかについても、「問題なし」って書いてあります。それは多分、成長を直に見てないからなんでしょうね。

だけど家族の知らないところで、自分は赤ちゃんが生きてるんだ、って生活を送ってたんだな…って、自分で自分が怖くなりました。

確実にあの間、自分は狂ってたと言われても仕方ないし、狂ってたと思います。

落ち着いてから、近所の信頼出来る友達ママに話をしたら、「時々、赤ちゃんの話してた」って言われた。赤ちゃんが亡くなったことはその友達も知ってたから、話を合わせてくれてたみたいです。

「暑いから赤ちゃんの外出をひかえてる」

とか

「赤ちゃんが風邪気味だからお母さんに預けてきた」

とか言いながら、幼稚園のPTAに参加してたんだって。

てことは、もしかしたら、インフルエンザの熱で幻覚見たんじゃないか、って言ってくれてる家族も、私と「赤ちゃん」の生活に、黙って付き合ってくれてたんじゃないだろうか、と思います。

確認してないけど……もしそうだとしたら、当時小学校1年と幼稚園だった上の子2人が、どんな気持ちでそんな母親を見てたかとか考えると、申し訳ないやら怖いやらです。

でも今でも、赤ちゃん抱っこしてる感覚とか、赤ちゃんがおっぱい飲んでる感覚とか、あれは現実だったんじゃないか、と思う事もあります。

まだ狂ってるのかも知れないです。

書いてみたら怖い話っていう部類じゃなかったですね、長々と失礼しました。