北東北のある人が、夏の盛りにフライフィッシングに出かけた。
ある程度釣り歩くと、すっかり日も暮れて川に夜が来た。
それでもその日は結構パタパタと魚信があったので、意地悪く釣り歩いてると、
急に川が開けて、いかにも釣れそうな場所が現れた。
今日の最後はここで締めくくろうと竿を振ると、突然ブワーッとホタルが舞い始めた。
ホタルはまるで川面から湧き出すように飛び回り、川は幻想的な雰囲気に包まれた。
こんな量のホタルは珍しいなと思った途端、川から人の声が聞こえてきたという。
最初は気をつけてないと聞き取れないほどの声量だったのだけれど、
徐々にその声は大きくなって、だんだんと内容が聞き取れるようになった。